中國(guó)乗用車市場(chǎng)信息聯(lián)席會(huì)（乗聯(lián)會(huì)）は4月の乗用車市場(chǎng)について、「ゆっくり回復(fù)」と表現(xiàn)した。目を引いたのは、ファーウェイ（華為技術(shù)）系のセレス（賽力斯）の販売臺(tái)數(shù)激増と、シャオミ（小米）の鮮烈なデビューだ。日本ではスマホのイメージが強(qiáng)い両社だが、中國(guó)では自動(dòng)車で旋風(fēng)を巻き起こしている。その理由と今後に迫ってみたい。

4月の販売臺(tái)數(shù)

乗聯(lián)會(huì)によると、4月の中國(guó)國(guó)內(nèi)の乗用車販売臺(tái)數(shù)は前年同月比5．7％減の153萬(wàn)2000臺(tái)、うち新エネルギー車（電気自動(dòng)車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車）は同28．3％増の67萬(wàn)4000臺(tái)で、全體の43．7％を占めた。

新エネルギー車の販売臺(tái)數(shù)トップ10は以下の通り。

1位 BYD（比亜迪） 25萬(wàn)4131臺(tái) 前年同月比31．1％増

2位 吉利汽車 4萬(wàn)9155臺(tái) 76．3％増

3位 長(zhǎng)安汽車 4萬(wàn)507臺(tái) 119％増

4位 上汽通用五菱 3萬(wàn)2003臺(tái) 5．6％減

5位 テスラ 3萬(wàn)1421臺(tái) 21．4％減

6位 広汽埃安 2萬(wàn)6109臺(tái) 36．3％減

7位 理想汽車 2萬(wàn)5787臺(tái) 0．4％増

8位 セレス2萬(wàn)5075臺(tái) 725．7％増

9位 奇瑞汽車 2萬(wàn)2640臺(tái) 173．4％増

10位 長(zhǎng)城汽車 2萬(wàn)352臺(tái) 48．2％増

シャオミはトップ10には入らなかったが、初の電気自動(dòng)車（EV）「SU7」を4月に7058臺(tái)売り上げた。

解説記事はBYDの好調(diào)、トップ10の前年割れ3社（うち外資系2社）、民族系メーカーの好調(diào)（奇瑞、長(zhǎng)安、セレス）をトピックとして挙げている。さらに追加するなら、セレスの絶好調(diào)とシャオミの大躍進(jìn)だろう。これはファーウェイとシャオミの成功と置き換えられる。

ファーウェイ「問(wèn)界M9」

中國(guó)メディアのテンセント（騰訊網(wǎng)）は「月間1萬(wàn)5000臺(tái)を売り上げる問(wèn)界M9、一體誰(shuí)が買っているのか」と題する記事を掲載した。

問(wèn)界シリーズはファーウェイとセレスが共同開(kāi)発したSUVで、21年12月の「M5」（24萬(wàn)9800元～30萬(wàn)9800元＝約500萬(wàn)～620萬(wàn)円）に始まり、22年7月に「M7」（24萬(wàn)9800元～32萬(wàn)9800元＝約500萬(wàn)～660萬(wàn)円）を発売した。24年2月発売の「M9」（46萬(wàn)9800元～56萬(wàn)9800元＝約940萬(wàn)～1140萬(wàn)円）は1000萬(wàn)円超えの高級(jí)車でありながら、4月のSUVランキングで6位に入った。誰(shuí)もが疑問(wèn)を抱くレベルの大ヒットだ。

問(wèn)界M9は全長(zhǎng)5200mm、全幅1999mm、全高1800mm、ホイールベース3100mm、重量2560kgと堂々たる大きさ。航続距離は630kmで、拡張版は1362km。ファーウェイの最新の運(yùn)転支援システム「Huawei ADS2．0」を採(cǎi)用し、LiDARやミリ波レーダーなど、192ラインのスキャンからさまざまな道路狀況に対応する。

記事は問(wèn)界M9のヒットの理由について、これまでBBA（ベンツ、BMW、アウディ）などの內(nèi)燃エンジン車が獨(dú)占していた50萬(wàn)元（約1000萬(wàn)円）以上の高級(jí)車ユーザーの動(dòng)向を挙げた。高級(jí)車の購(gòu)入者が中國(guó)車を選択する方向に傾いているという。その代表例は造車新勢(shì)力の理想汽車の大型SUV「L9」の成功だ。22年6月に発売され、45萬(wàn)～50萬(wàn)元（約900萬(wàn)～1000萬(wàn)円）と高額だが、徐々に販売を伸ばし、23年8～12月に5カ月連続で月間販売臺(tái)數(shù)1萬(wàn)臺(tái)以上を記録した。

BBAなど高級(jí)車の販売価格は中國(guó)での追加コストやブランドイメージへの心酔などの要因から海外価格の2倍以上もしており、中國(guó)の消費(fèi)者はバブルに踴らされていた。ここに中國(guó)メーカーの高級(jí)EVが進(jìn)出し始め、國(guó)産車を選択する人が増えている。問(wèn)界M9は理想L9の作ったこうした流れにうまく乗ったといえる。

シャオミ初のEV「SU7」

シャオミ初のEV「SU7」が3月末に発売された。予約注文は開(kāi)始27分で5萬(wàn)臺(tái)を超え、5月中旬には10萬(wàn)臺(tái)を突破。納車は5月までに1萬(wàn)5000臺(tái)を上回った。売り上げは270億元（約5400億円）になると伝えられた。これは前例のないスピード記録という。

SU7はスタイリッシュなクーペ風(fēng)4ドアセダンで、全長(zhǎng)4997mm、全幅1963mm、全高1440mm、ホイールベース3000mm。重量1980～2205kg、航続距離700km。価格は21萬(wàn)5900元～29萬(wàn)9900元（約432萬(wàn)～600萬(wàn)円）。購(gòu)入者はBBAのオーナーが29％、女性が28％、アップルユーザーが52％を占めた。こちらもうまく上客を取り込んでいる。

中國(guó)メディアはシャオミの資金力、巨大なトラフィック、創(chuàng)業(yè)者の雷軍（レイ?ジュン）氏の個(gè)人的魅力、価格の比較優(yōu)位性などから、失敗の可能性は非常に低く、自動(dòng)車業(yè)界への進(jìn)出は正しい選択だったと評(píng)している。しかし、かつては否定的な論評(píng)も多く、手のひら返しの典型だろう。

シャオミは自動(dòng)車業(yè)界への進(jìn)出について、自社によるIoTシステム構(gòu)築のラストピースと表明していた。SU7はシャオミのほか、iPhoneやiPadのユーザーもしっかりサポートする體制で登場(chǎng)した。さらに雷氏は中國(guó)の他の自動(dòng)車メーカーに対し、共通のエコシステム「人車家全生態(tài)」の構(gòu)築への參加を呼びかけた。SU7の成功はその後押しとなりそうだ。

ファーウェイとシャオミの國(guó)民的人気

中國(guó)では2010年代にDX（デジタルトランスフォーメーション）が猛スピードで進(jìn)行した。3大通信キャリアの中國(guó)移動(dòng)（チャイナ?モバイル）、中國(guó)聯(lián)通（チャイナ?ユニコム）、中國(guó)電信（チャイナ?テレコム）が競(jìng)って市場(chǎng)を開(kāi)拓したが、ファーウェイとシャオミはそれをハードウェアの面から支え、大きく貢獻(xiàn)した。

シャオミは11年8月に初のスマホを発売した。13年発売の「紅米手機(jī)（Redmi）」は価格を799元に抑えてメガヒットし、中國(guó)を代表する入門機(jī)種となり、スマホの國(guó)民的普及に大きく貢獻(xiàn)した。創(chuàng)業(yè)者の雷軍氏はさわやかなイメージも加わり、スター経営者となった。

ファーウェイは基地局などの電信設(shè)備でDXに大きく貢獻(xiàn)した。その後、スマホの販売臺(tái)數(shù)でもシャオミを上回った。18年の孟晩舟副會(huì)長(zhǎng)のカナダでの拘束後、創(chuàng)業(yè)者の任正非氏も積極的に発信を始め、米國(guó)制裁に抵抗するヒーロー的存在となった。

ファーウェイとシャオミのDXへの貢獻(xiàn)とそれぞれのストーリーは中國(guó)人の記憶にしっかり刻まれている。これら國(guó)民的サポートを受けるブランドがBBAの牙城に切り込んでいる。中國(guó)の高級(jí)車市場(chǎng)が大きく変化する扉が開(kāi)いたかもしれない。

■筆者プロフィール：高野悠介

1956年生まれ、早稲田大學(xué)教育學(xué)部卒。ユニー株（現(xiàn)パンパシフィック）青島事務(wù)所長(zhǎng)、上海事務(wù)所長(zhǎng)を歴任、中國(guó)貿(mào)易の経験は四半世紀(jì)以上?，F(xiàn)在は中國(guó)人妻と愛(ài)知県駐在。最先端のOMO、共同購(gòu)入、ライブEコマースなど、中國(guó)最新のB2Cビジネスと中國(guó)人家族について、ディ－プな情報(bào)を提供。著書：2001年「繊維王國(guó)上?！箹|京図書出版會(huì)、2004年「新?繊維王國(guó)青島」東京図書出版會(huì)、2007年「中國(guó)の人々の中で」新風(fēng)舎、2014年「中國(guó)の一族の中で」Amazon Kindle。