中國では従來型のエンジン車とは異なる駆動方式の新エネルギー車（新エネ車）と呼ばれる自動車が普及しつつある。比較的多いのは電気自動車（EV）やプラグインハイブリッド車（PHEV）だ。中國で製造された新エネ車が輸出されたり、中國企業(yè)が海外に新エネ車の生産拠點(diǎn)を設(shè)けることも増えている。本稿は、上海に拠點(diǎn)を置き市場分析や総合コンサルティングを営む上海嘉世営銷諮詢有限公司（MCR）による「2024年新エネ車市場簡易分析リポート」の主要部分をまとめたものだ。

【その他の寫真】

新エネ車分野は成長続くも伸びは鈍化

2018年以前には新エネ車が主に政策により普及した。2019年以降に補(bǔ)助金政策は大幅に後退したが、車の品質(zhì)向上と値下げが鮮明になったことで、消費(fèi)者に改めて受け入れられるようになった。2024年の新エネ車市場も、政府による推進(jìn)ではなく、市場原理によって主導(dǎo)されている。

一方で、新エネ車の2023年1－11月の生産臺數(shù)は前年同期比34．5％増の842萬6000臺で、販売臺數(shù)は同36．7％増の830萬4000臺だった。新エネ車はすでにかなり浸透したことで成長は鈍化し、競爭が激化する狀況が発生している。

中國汽車工業(yè)協(xié)會（中國自動車工業(yè)協(xié)會）によると、2023年12月24日時點(diǎn)での中國市場における新エネ乗用車の累計販売臺數(shù)は708萬1000臺で、うちEVは478萬4000臺で、PHEVは229萬7000臺だった。

新エネ車で高級ブランドの評価獲得

中國の新エネ車の普及には、地域による違いがある。2023年1－6月では北京や上海などの一線都市（中國全國に対する影響力がある大都市）での新エネ車の浸透率が43．7％だったが、地方の小都市である五線都市では浸透率が19．5％だった。

販売価格では、10萬－15萬元（約220萬－330萬円）と15萬－20萬元（約330萬－440萬円）の価格帯では従來型のエンジン車の比率が60％以上を超えていた。また、高級自動車とされる40萬元（約880萬円）以上の価格帯でも、エンジン車が60％以上だった。高価格帯でエンジン車の比率が高いのは、國外の高級ブランド車が売れている影響だ。中國の自動車會社は新エネ車を通じてブランドの高級化を推進(jìn)しつつある。

中國の新エネ乗用車は品質(zhì)が良く、費(fèi)用対効果が高い。またスマート化も進(jìn)んでいる。このため、輸出車の多くはミドルエンドやハイエンドに位置付けられている。中國乗用車市場信息聯(lián)席會（中國乗用車市場情報連絡(luò)會）によると、2023年1－10月に中國から輸出された新エネ車は前年同期比76．8％増で、140萬臺を超えた。

「百花斉放」の業(yè)界も分極化が進(jìn)行か

2021年には新エネ車の販売臺數(shù)が飛躍的に増加したため、産業(yè)チェーンの一部で供給が需要に追い付かない狀況になった。そのため、「価格が上昇し、販売量が増加する」という珍しい現(xiàn)象が発達(dá)した。2022年も新エネ車の販売が急増し、産業(yè)チェーンによる役割分擔(dān)の細(xì)分化が進(jìn)み、業(yè)界では好況が続いた。

2023年には新エネ車の販売の伸びが鈍化すると同時に、過去2年間の投資と建設(shè)による追加生産能力が出現(xiàn)した。このために、産業(yè)チェーンの各段階で生産能力が過剰になった。結(jié)果として値下げ競爭が発生したことで、企業(yè)の収益性が悪影響を受けた。

新エネ車関連では、自動車製造分野の「新勢力」が多く登場する現(xiàn)象も発生した。業(yè)界はまさに「百花斉放」の狀態(tài)になった。そのことで需要が刺激される面もあった。しかし今後は、開発力の差により、「勝ち組」と「負(fù)け組」の分極化が進(jìn)む可能性がある。業(yè)界における強(qiáng)者はさらに強(qiáng)くなるとみられている。

中國は電池分野で大きな強(qiáng)み

EVにとって最も重要な部品は動力用電池だ。2023年には炭酸リチウム価格が下落したために、リチウムイオン電池も価格が下落した。このことで電池製造企業(yè)のコストは改善されたが、原材料の価格下落に伴う在庫評価損が発生し、さらに競爭の激化も発生した。しかし業(yè)界全體の粗利益率は前年と比べて相対的に安定していた。

中國の動力用電池製造企業(yè)の競爭力の強(qiáng)さは鮮明であり、世界の上位10社のうち中國企業(yè)が6社を占めている。全體的に見て、中國の動力用電池製造企業(yè)の成長率は海外企業(yè)を著しく上回っている。

ファーウェイ參畫のモデルに技術(shù)面の強(qiáng)み

新エネ車の所有者は、エンジン車と比べて女性が多く、高學(xué)歴?高収入で消費(fèi)者として成熟している特徴がある。新エネ車の所有者のうち女性の割合は29．4％で、エンジン車に比べて1．4ポイント高い。年齢は31－40歳が多く、この世代のエンジン車所有者の割合を6．4ポイント上回る。また、既婚で子供もいる家庭は新エネルギー車を購入する傾向が強(qiáng)い。

中國では、高速道路上でのレベルの高い運(yùn)転補(bǔ)助システムを?qū)g現(xiàn)したメーカーも出現(xiàn)した。自動車メーカー各社は主要車種により高い演算能力を持つチップやその他のスマート運(yùn)転関連システムの導(dǎo)入を進(jìn)めている。今後は自動車に搭載されるアルゴリズム機(jī)能と、それを支えるハードウェアがより向上していくはずだ。

自動車メーカー各社は全シーン対応化や低コスト化と高度な運(yùn)転支援を両立させようとしている。また、高度な技術(shù)を持つ華為技術(shù)（ファーウェイ）が參畫する「問界」や「智界」などのモデルは、技術(shù)の急速な向上により、短期間で多くの顧客を獲得した。新興の自動車メーカーもこれまで自動運(yùn)転分野への投資を続けてきたことで、新たな製品で技術(shù)力を発揮することができるだろう。

販売方式と消費(fèi)者の動向と傾向

新エネ車のブランドは、従來型の自動車販売?サービス店の4S店よりも、ショッピングモール內(nèi)に店舗を開設(shè)する傾向がある。ショッピングモール內(nèi)の店舗は潛在的な顧客の注意を引きやすく、潛在的な購入者は、買い物や食事をしている際に、受動的にでも新車の情報を得るからだ。ショッピングモール內(nèi)の店舗は新エネ車の購入を促進(jìn)する重要な要因となっている。

新エネ車の購入希望者は、一括支払いの場合の優(yōu)遇、金融面での良い選択肢の多さ、アフターサービス、充電や電池交換、保険なども考慮する。特にアフターサービスは、サービス提供者による水準(zhǔn)の違いが購入者に困惑をもたらすことがある。新エネ車についてアフターサービスを規(guī)範(fàn)化して管理することは、購入者に満足感をもたらすことに直結(jié)する。

また、新エネ車の中古車市場での取引數(shù)も増加しつつある。政府も中古新エネ車に関連する規(guī)則を打ち出している。原油価格の上昇予測も中古新エネ車市場を後押ししている。（翻訳?編集/如月隼人）