11月5日の米大統(tǒng)領(lǐng)選で共和黨のトランプ前大統(tǒng)領(lǐng)と民主黨のハリス副大統(tǒng)領(lǐng)のどちらが勝つか。勝者が決まるまでには時間を要する上に混亂が起きることが予想され、最終決著が來年1月になる可能性もある。

トランプ氏リードも誤差の範囲內(nèi)

多くの米有力世論調(diào)査機関によると、10月末現(xiàn)在、全米での両候補の支持率はトランプ氏が若干リード、あるいは互角とされている。また、今回の大統(tǒng)領(lǐng)選の帰趨を左右する接戦７州ではトランプ氏が僅差で優(yōu)勢との予想が多い。それでも、両者の差は誤差の範囲內(nèi)であり、「歴史的な大接戦」（米CNN）とみるべきだろう。周知の通り大統(tǒng)領(lǐng)選の勝敗を決するのは候補の総得票數(shù)ではなく、全米50州と首都ワシントン（コロンビア特別區(qū)）に人口などに応じて割り振られた計538人の選挙人の過半數(shù)の270人を獲得できるかである。ほとんどの州では1票でも多く得た候補にその州の選挙人すべてが與えられる。

全米の多くの州では従來の政治傾向から共和、民主黨どちらが勝つかおおむね分かっており、今年の大統(tǒng)領(lǐng)選は激戦7州の選挙人をトランプ、ハリス候補のどちらが多く取るかがカギとなる。米有力選挙サイトの情報を総合すると、両候補とも既に獲得確実とみられる選挙人數(shù)は220人前後で、過半數(shù)の270人に屆くには50人足りないとみられている。

2000年「ブッシユ対ゴア対決」劇の再現(xiàn)も

ハリス、トランプ両候補が接戦州で選挙人をし烈に奪い合い、「數(shù)千票という僅差で勝敗が決まる」（米有力シンクタンクの政治アナリスト）といったシナリオもあり得るので、これら7州でのそれぞれの獲得選挙人がなかなか確定しないことも考えられる。あるいは両候補の獲得選挙人が同數(shù)の269で決著がつかない狀況も想定される。いったん、各州で両候補の得票票が発表されても、敗者とされた候補の陣営が集計作業(yè)のやり直しを要求することもあるだろう。そうなると、前回2016年の大統(tǒng)領(lǐng)選後にトランプ氏が選挙結(jié)果を受け入れず、不正選挙だとして法廷闘爭を展開したような事態(tài)が再び起き、混亂が続くことが起こり得る。もっと複雑で重大な狀況に発展するかもしれない。連邦最高裁の判斷によって決著した2000年大統(tǒng)領(lǐng)選のような政治ドラマが再現(xiàn)されるとみる向きもある。

この時の大統(tǒng)領(lǐng)選は共和黨のブッシュ氏と民主黨のゴア氏が大接戦を演じ、選挙人25人のフロリダ州をどちらが制するかで勝敗が分かれる情勢にあった。當(dāng)初、同州では1784票差で「ブッシュ勝利」の暫定開票結(jié)果が発表されたが、僅差の場合に再集計を求めるという州法に基づき、ゴア陣営は手作業(yè)による再集計を要求。これに対しブッシュ陣営は手作業(yè)による再集計の差し止めを求め連邦地裁に提訴したことから、法廷闘爭に発展。最終的には連邦最高裁の判斷に基づき、事実上ブッシュ勝利が決まったという経緯がある。最終決著がつくまで投票日から36日間を要したのである。今回もこのようなことが起きないとは言い切れない。

1月の連邦下院選で投票か

米メディアの間では専門家の意見として別のシナリオも取りざたされている。それは大統(tǒng)領(lǐng)選の勝者が今年中に決まらず、來年１月の新議會まで持ち越される可能性である。通常通りコトが運べばスケジュールは以下の通りだ。11月5日の投開票日の後にハリス氏かトランプ氏どちらかの候補の勝利が決まり、各州の選挙人による投票が12月17日に実施され、その結(jié)果が連邦上院などに送られる。そして來年1月6日に開かれる上下両院合同會議で州ごとに投票結(jié)果が確定され、次期大統(tǒng)領(lǐng)當(dāng)選者が正式?jīng)Q定される。新大統(tǒng)領(lǐng)の就任式は1月20日に行われる。だが、今年は12月17日の選挙人投票日までに両候補の獲得選挙人が確定しないことも予想される。その場合には年明けの連邦下院での投票に委ねられる。具體的には50州の代表が1票ずつ投じ、26票を得た候補が當(dāng)選となる。

ただ、投票は改選後の下院で行われるので、共和黨、民主黨がどれだけ議席を持つかによって狀況は変わる。大統(tǒng)領(lǐng)選だけでなく、連邦議會選で共和黨、民主黨がどれだけ議席を取るかが注目されるゆえんだ。さらに下院でも決まらなければ、副大統(tǒng)領(lǐng)や下院議長が代行するケースも米メディアの間ではささやかれている。いずれにせよ、今度の大統(tǒng)領(lǐng)選は大接戦だけに11月5日の投票日後も波亂含みの展開になりそうだ。

■筆者プロフィール：山崎真二

山形大客員教授（元教授）、時事総合研究所客員研究員、元時事通信社外信部長、リマ（ペルー）特派員、ニューデリー支局長、ニューヨーク支局長。