9月の販売數(shù)と販売増のトップ3のデータを基に2025年の中國乗用車市場(chǎng)を展望する。政策の影響は排し、車の魅力にフォーカスした。すると電気自動(dòng)車（EV）、プラグインハイブリッド車（PHEV）、燃料電池車などの新エネルギー車、內(nèi)燃エンジン車を問わず、はっきりした傾向が見て取れる。

販売臺(tái)數(shù)トップ3はBYDとテスラ

9月の販売臺(tái)數(shù)トップ3は以下の通り。

1位 Model Y（テスラ） 4萬8202臺(tái)　EV、小型SUV 24萬9900～35萬4900元（約500萬～710萬円）

2位 海鷗（BYD） 4萬7915臺(tái) EV、小型2BOX 6萬9800～8萬5800元（約140萬～172萬円）

3位 宋PLUS新能源（BYD） 4萬2382臺(tái) EV＋PHEV、小型SUV 12萬9800～18萬9800元（約260萬～380萬円）

1位 Model Y

テスラのModel Yは2023年に120萬臺(tái)超を販売し、世界一となった。中國では2024年1～9月に33萬7648臺(tái)を販売し、BYDの秦PLUSの36萬2721臺(tái)に次ぐ2位、SUVでは1位だった。しかし、國內(nèi)勢(shì)がModel Yをターゲットとする製品を続々投入した。極氪（吉利系）、智己（上海汽車系）、楽道（蔚來系）、阿維塔（ファーウェイ系）、智界（奇瑞系）、小鵬の6大ブランドが激しく爭う。中でも低価格路線の極氪7X（22萬9900元＝約460萬円～）、智己LS6（21萬4900元＝約430萬円～）が絶好調(diào)で、Model Yに強(qiáng)いプレッシャーをかけている。これらのブランドはBBA（ベンツ、BMW、アウディ）のシェアも浸食し、高級(jí)車マーケットを一変させつつある。

2位 海鷗（シーガル）

海鷗は2023年4月発売の「新世代主流モビリティースクーター」を標(biāo)榜する3780mm×1715㎜×1540mm、ホイールベース2500mmのコンパクトカー。BYDのEVではボトムラインに位置する。それでも自社開発のインテリジェントネットワーク「DiLink」を搭載し、自慢の自社製ブレードバッテリーを採用しており、航続距離は305～405km。通勤や短距離移動(dòng)のニーズなら海鷗のベーシックグレードで十分だろう。1萬ドル以內(nèi)という価格のメリットは大きく、海外でも注目されている。

3位 宋PLUS新能源

2021年に発売されたBYDのエース級(jí)の新エネルギー車で、2024年7月に累計(jì)販売臺(tái)數(shù)が100萬臺(tái)を突破した。EVとPHEVがあり、さまざまなタイプを含むが、基本は4705mm×1890mm×2765mm、ホイールベース2745mmで、中國では小型SUVに屬する。発売中の2025年バージョンはEVが航続距離520km版2グレード、同605km版1グレード、PHEVが電池航続75km版1グレード、同112km版2グレード、同160km版2グレードで、1車種で合計(jì)8グレードという大ファミリーを形成している。

増加數(shù)トップ3は內(nèi)燃エンジン車、EV、PHEVがそろう

ニューメディア「優(yōu)視汽車」は「9月に3車種が販売數(shù)激増、一體誰が購入しているのか」との記事を発表し、詳しく分析した。

1位 シルフィ（東風(fēng)日産）

3萬3404臺(tái) ファミリーセダン 前月比9601臺(tái)増 內(nèi)燃エンジン、レンジエクステンダー 6萬9800～14萬1900元（約140萬～284萬円）

2位 MONA M03（小鵬汽車）

1萬23臺(tái) 小型セダン 前月比9506臺(tái)増 純EV 11萬9800～15萬5800元（約240萬～312萬円）

3位 宋L DM-i（BYD）

2萬2677臺(tái) 小型SUV 前月比6927臺(tái)増 13萬5800～17萬5800元（約272萬～352萬円）

1位 シルフィ

シルフィ（軒逸）は日産の合弁企業(yè)の東風(fēng)日産により2006年に投入された。日本では2020年に生産終了し、日本人の記憶からは遠(yuǎn)のいているが、中國では高い人気を保っている。2020年から2023年まで4年連続でセダンの販売臺(tái)數(shù)トップを維持し、10萬元（約200萬円）前後のお値打ちファミリーセダンの象徴的存在となっている。中國メディアはシルフィについて、仕上がりや乗り心地など細(xì)部には賛否両論あるものの、安定性、信頼性、耐久性、低燃費(fèi)に関しては文句なしと稱賛している。

そのシルフィが8月と9月に新型を発売し、販売臺(tái)數(shù)を大きく伸ばした。10萬元以下でコスパの良い內(nèi)燃エンジン車を望むユーザーにとって有力な選択肢であり続けている。

2位 MONA M03

小鵬汽車は理想汽車、蔚來汽車と並ぶ「造車新勢(shì)力」の雄だ。PHEVで先行した理想汽車を追いかけ、蔚來など他社を抑えるため、低価格車が求められていた。MONA M03はそれに応えた切り札だ。8月末に発売され、當(dāng)月の販売は517臺(tái)だったが、9月に1萬23臺(tái)と躍進(jìn)した。中國メディアはコスパの高さを理由に挙げている。ファッショナブルなエクステリアとスマートなインテリアは特に傑出したものではないが、ユーザーは評(píng)価したようだ。量販EVにおける抗力係數(shù)ではトップで、航続距離はベーシックグレードで515km。これが11萬9800元で手に入る。スタイリッシュなEVを望む25～35歳の若い男性の心を捉えた。

3位 宋L DM-i

7月25日に発売され、8月に1萬5750臺(tái)、9月に2萬2677臺(tái)と販売臺(tái)數(shù)が激増した。5月に発表した最新のPHEVシステム、第五代DM技術(shù)を採用した。世界最高のエンジン熱効率46％、100Kg當(dāng)たり燃費(fèi)2．9L（リッター當(dāng)たり34．5km）を達(dá)成し、航続距離は2100kmにも及ぶ。スペック通りのパフォーマンスを発揮するとすれば、現(xiàn)在世界最強(qiáng)のPHEVだろう。

■コスパの高さで後悔しない選択

內(nèi)燃エンジン車…シルフィ

EV…MONA M03

PHEV…宋L DM-i

高級(jí)車…Model Y、極氪7X、智己LS6

ミドルクラス…宋PLUS新能源

コンパクト…海鷗

いずれのカテゴリーでも高コスパ車が売れている。中國メディアはこれこそ昨今の後悔しない正しい選択だとしている。メーカーの生き殘りは高コスパ車の投入にかかっている。

EVは高級(jí)車とベーシック車に二極化し、ミドルクラスはPHEVやレンジエクステンダーがシェアを伸ばしている。この傾向は當(dāng)面続くとみられ、こうした狀況に対応することが重要だ。EVのシェアは頭打ちから下降へ向かい、當(dāng)初想定された新エネルギー車の市場(chǎng)構(gòu)成とは異なるものになりつつある。

■筆者プロフィール：高野悠介

1956年生まれ、早稲田大學(xué)教育學(xué)部卒。ユニー株（現(xiàn)パンパシフィック）青島事務(wù)所長、上海事務(wù)所長を歴任、中國貿(mào)易の経験は四半世紀(jì)以上。現(xiàn)在は中國人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中國最新のB2Cビジネスと中國人家族について、ディ－プな情報(bào)を提供。著書：2001年「繊維王國上?！箹|京図書出版會(huì)、2004年「新?繊維王國青島」東京図書出版會(huì)、2007年「中國の人々の中で」新風(fēng)舎、2014年「中國の一族の中で」Amazon Kindle。