「逢うべき糸に出逢えることを 人は仕合わせと呼びます」

【その他の寫(xiě)真】

この作文を書(shū)き始めようとする時(shí)、中島みゆきの「糸」という歌を聴きながら、學(xué)部生時(shí)代の指導(dǎo)先生――張淑靖先生の思い出が次から次へといっぱい浮かんできた。

「初めまして、先生、袁Xと申します」「初めまして、袁君、私は袁君の指導(dǎo)先生ですよ。日本語(yǔ)が好きですか、日本の漫畫(huà)あるいはアニメが好きですか」。私は顔に苦笑いを浮かべながら、首を橫に振った?！柑丐撕盲扦悉ⅳ辘蓼护蟆Ｋ饯蠚s史に興味があります。しかし、あれこれの事情により日本語(yǔ)専攻がとなりました」「歴史が好きですか。偉いですね。でも、日本語(yǔ)も面白いですよ、絶対に歴史の知識(shí)に負(fù)けないよ。日本語(yǔ)専攻の世界へ、ようこそ」。

それは、新入生の私と先生の初めての會(huì)話だった。その前の長(zhǎng)い間、日本語(yǔ)専攻に入ったために、私はずっとくよくよしていた。だが、優(yōu)しい先生の暖かい言葉を聞いたら、なんと日本語(yǔ)への抵抗感を乗り越えることができた。張先生との出會(huì)いがきっかけで真面目に日本語(yǔ)を勉強(qiáng)するようになった。

「先生、この物語(yǔ)の真相は一體なんですか」。それは、2年生の授業(yè)中だった。授業(yè)中、私たちは一緒に芥川龍之介の『藪の中』という物語(yǔ)を読み、『藪の中』を原作として、同作者の『羅生門(mén)』を加えて映畫(huà)化された『羅生門(mén)』という映畫(huà)を見(jiàn)た。授業(yè)の最後、私は手をあげ、前文にあるような質(zhì)問(wèn)を出した。

「真相は君達(dá)の考え方次第ですよ」。私は首をかしげた。「どういう意味ですか」。先生は微笑んで、このようなことを述べた?！刚嫦啶现匾扦悉胜?。一番重要なのは、問(wèn)題を考える立場(chǎng)です。事実は一つだけど真相は無(wú)數(shù)にありますよ。今の時(shí)代、皆さんの目に觸れるニュースの何もかも他の人が見(jiàn)せたがるものだ。皆さんは獨(dú)立して考えるようにしてください」。

目の前の霧が晴れていくように、眼には新たな世界がありありと見(jiàn)えてきた。初めて日本語(yǔ)あるいは日本文學(xué)に魅力を感じた。

4年生の時(shí)に、新型コロナウイルスの影響で計(jì)畫(huà)留學(xué)ができなくなり、中國(guó)の大學(xué)院の入試に參加した。殘念ながら、面接試験で緊張し、失敗した。その時(shí)に、落ち込んで、人生が終わった感じがした。復(fù)習(xí)の資料を全て捨て、自分の部屋に引きこもっていた。なかなか自分の失敗を許せなく、自分自身のことを疑い始めた。

その時(shí)、先生から電話がきた?！复笳煞颏扦工埂赶壬?、大丈夫ですよ。ごめんなさい、私は失敗しました」「謝る必要はありませんよ。袁君はもう最善を盡くしました。カルテットというドラマを見(jiàn)たことがありますか」「いいえ、見(jiàn)たことはありません。面白いドラマですか」「ええ、面白いよ、とりあえず、休みとして見(jiàn)てみよう。見(jiàn)た後、自分の気持ちを整理し、また頑張りましょう。袁君はやればできる子ですから。私はずっとそのことを信じていますよ」。このドラマを見(jiàn)た後の翌日、私は浪人生向けの自習(xí)室に入り、また受験の準(zhǔn)備を始めた。

今、日本文學(xué)専攻の院生として勉強(qiáng)している私は學(xué)校の図書(shū)館で、またそのドラマの主人公のセリフを思い出した。――「人生には、三つの坂があるんですって。上り坂、下り坂、まさか」。そうだね。先生がおっしゃった通り、誰(shuí)にしても、失敗は、それを認(rèn)める勇気さえあれば、いつでも許されるものだ。重要なのは、もう一度やり直す勇気だ。

確かに、人と人との出會(huì)いは、中島みゆきの歌詞のように、仕合わせと呼ぶのだ。人々は互いに出會(huì)う理由やタイミングは知らないが、それでも出會(huì)いは起こる。そして、その出會(huì)いが織りなす布は、いつか誰(shuí)かを暖めたり、傷をかばったりするかもしれない。人と人との出會(huì)いは偶然ではあるが、大切なものだ。

ありがとう、先生。日本語(yǔ)に會(huì)えて、よかった。日本文學(xué)に會(huì)えて、よかった。先生にも會(huì)えて、よかった。

■原題：糸

■執(zhí)筆者：袁傑（天津外國(guó)語(yǔ)大學(xué)）

※本文は、第19回中國(guó)人の日本語(yǔ)作文コンクール受賞作品集「囲碁の智恵を日中交流に生かそう」（段躍中編、日本僑報(bào)社、2023年）より転載?編集したものです。文中の表現(xiàn)は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報(bào)社の許可を得て掲載しています。