1月20日に就任したトランプ米大統(tǒng)領(lǐng)は大統(tǒng)領(lǐng)選での大勝に加え與黨?共和黨が連邦議會(huì)を制したことから、すべて思い通りの政策を?qū)g現(xiàn)できると思われがちだが、実はいくつかの弱點(diǎn)を抱えている。

2人の造反で過半數(shù)失う可能性―共和黨下院

共和黨が上下両院で過半數(shù)を確保し、大統(tǒng)領(lǐng)選と併せ勝利したことでいわゆる「トリプルレッド」が実現(xiàn)したのは事実。トランプ大統(tǒng)領(lǐng)が政策運(yùn)営をする上で非常に有利であることは間違いない。ただ、共和黨が議會(huì)多數(shù)派になったとはいえ、野黨民主黨との議席數(shù)の差はわずか。1月3日に開會(huì)した米議會(huì)は下院（定數(shù)435）が共和黨219、民主黨215（欠員1）という構(gòu)成だが、共和黨下院議員が新政権入りすることなどから議席數(shù)差はさらに縮小し、2人の造反者が出れば共和黨は過半數(shù)に屆かなくなると指摘されている。

上院（定數(shù)100）は共和黨53、民主黨47だが、ここでも共和黨はやっかいな問題に直面する。上院では少數(shù)黨が審議を際限なく引き伸ばすフィリバスター（議事妨害）という仕組みがあり、これを阻止するには60議席が必要。歳出、稅や連邦債務(wù)上限に関する法案はフィリバスターの対象外で、連邦政府高官人事も単純過半數(shù)による上院での承認(rèn)が可能だが、通常の法案は共和黨の53票だけではすんなりと通過とはならず、民主黨との交渉が必須となる。例えば、トランプ大統(tǒng)領(lǐng)が提唱した関稅徴収のための「外國歳入庁」新設(shè)は民主黨がフィリバスターを使って抵抗すると予想される。

無視できない保守強(qiáng)硬派の臺(tái)頭

議會(huì)対策でトランプ大統(tǒng)領(lǐng)にとってもう一つ頭が痛いのは、共和黨下院議員で構(gòu)成する「フリーダム?コーカス」グループを中心とする保守強(qiáng)硬派の臺(tái)頭だ。同派の議員は基本的にはトランプ支持だが、徹底した歳出削減などを聲高に主張、しばしば共和黨指導(dǎo)部に盾突く。昨年暮れ、米政府の資金繰りに必要なつなぎ予算の議會(huì)審議でも混亂を引き起した。つなぎ予算を巡っては共和、民主両黨が當(dāng)初、2025年3月半ばまでの延長で合意したが、トランプ氏らが反対したことなどから事態(tài)は紛糾。ジョンソン下院議長（共和黨）は両黨合意を破棄し、トランプ氏の意向をくみ債務(wù)上限の効力停止の2年間延長を盛り込んだ法案を提案した。ところが、採決では保守強(qiáng)硬派の議員らが造反し、同法案は否決の憂き目に。その後、トランプ氏の要求を外す形でつなぎ予算案が可決されたが、改めて保守強(qiáng)硬派の影響力が浮き彫りになった。議會(huì)での民主黨との議席數(shù)が僅差だけに、トランプ大統(tǒng)領(lǐng)としては今後も保守強(qiáng)硬派の意向を無視できないだろう。

今やトランプ最側(cè)近として存在感を増す実業(yè)家イーロン?マスク氏と、「MAGA（米國を再び偉大に）」支持派との対立も新政権にとっては懸念材料だ。両者は米國の外國人専門職向けの就労ビザ「H-1B」の扱いを巡って激しく対立している。H-1Bは一時(shí)就労ビザで最長6年とされているが、この発給を受ければ永住権取得が容易になるといわれている。MAGA派の議員や支持者らは「移民に雇用を奪われる」としてH-1B発給に猛反対。一方、自らも南アフリカの出身で、かつて同ビザを保有していたこともあるマスク氏は「ハイテク産業(yè)の競爭力強(qiáng)化には外國人材が必要」と反撃し、トランプ陣営內(nèi)の亀裂が表面化した格好。マスク対MAGAの対立には、第1次トランプ政権の首席戦略官で「トランプ最側(cè)近」ともいわれたスティーブ?バノン氏がMAGAを擁護(hù)し介入、「マスク氏を追放すべし」と叫ぶなど、事態(tài)は一層エスカレートする様相だ。こうしてみると、トランプ新政権は必ずしも盤石とはいえないようだ。

■筆者プロフィール：山崎真二

山形大客員教授（元教授）、時(shí)事総合研究所客員研究員、元時(shí)事通信社外信部長、リマ（ペルー）特派員、ニューデリー支局長、ニューヨーク支局長。