中國(guó)で地下アイドル界が急速に拡大しており、日本のコンポーザーが求められている。

【その他の寫(xiě)真】

中國(guó)で地下アイドルグループが急増

中國(guó)では2022年12月にゼロコロナ政策が緩和されて以降、まるでそれまでの鬱憤（うっぷん）をはらすかのように音楽ライブが活発になった。その中でも特に急激な盛り上がりを見(jiàn)せているのが地下アイドル（地下偶像、地偶）だ。

中國(guó)の地下アイドル文化は日本から輸入されたもので、日本と同じように主流メディアに露出せずにライブやイベントを中心に活動(dòng)している。その増加の実態(tài)たるやすさまじく、23年初めには40ほどだったグループ數(shù)が、「地偶元年」と呼ばれた23年、翌24年、今年とわずか2年余りで急激に増加し、300グループを超えた。また、遅れて男性地下アイドルグループも徐々に増えており、まだまだ増加の勢(shì)いは止まりそうにない。

當(dāng)然、アイドルオタクと呼ばれるファンにもあっという間に広く認(rèn)知され、地下アイドルイベントに足を運(yùn)ぶファンも急増した。アイドルイベントのニーズとともにイベンターやライブハウス、小劇場(chǎng)なども増えており、商業(yè)施設(shè)のイベントとしての活用も増えた。今では週末のみならず平日でも中國(guó)各地で數(shù)多くのアイドルイベントが開(kāi)催されている。

このような中國(guó)地下アイドル界の急激な発展を日本のエンタメ業(yè)界も注目している。24年には日中のグループが互いの國(guó)のライブイベントに參加したり、日本の大きなアイドルイベントが中國(guó)で開(kāi)催されるなど日中間の交流も増えており、今後もこの流れはますます加速するとみられる。

中國(guó)地下アイドル界の臺(tái)頭についての詳細(xì)は、中國(guó)アイドル業(yè)界の現(xiàn)狀や日中エンタメ交流の観點(diǎn)から別の機(jī)會(huì)に投稿したいと思う。

中國(guó)の地下アイドル界は「オリジナル曲」という課題に直面

急激な発展を続けている中國(guó)地下アイドル界では、爆発的に増えているが故に粗削りな魅力がある反面、多くの課題もまた露見(jiàn)している。しかしここではそれらの課題の中でグループのパフォーマンス、特に楽曲についてフォーカスし、なぜ中國(guó)地下アイドルグループに日本のコンポーザーが求められているのかについて言及したい。

まず、中國(guó)地下アイドルグループの多くは日本のアイドル曲をカバーして日本語(yǔ)で歌っている。なぜなら日本のアイドルの最大の特徴は「アイドルとファンの一體感」であり、その具體的なものが楽曲におけるMIXやコールの存在だからだ。これは日本のアイドル曲以外にはない獨(dú)特のもので、ファンはアイドルと一緒に楽曲に參加しているという一體感を得ることができる。たとえ新しくできたばかりのグループでも、誰(shuí)でも知っている人気曲を歌うことで比較的容易にアイドルとファンの一體感を生み出すことができるメリットがある。そのようなことから、一つのイベントの中で複數(shù)のグループが同じ曲をパフォーマンスするということが普通にある。

しかし最近の機(jī)運(yùn)として、オリジナル曲を持ちたいと考えるグループが確実に増えている。もちろん地下アイドルグループが増え続けていく中で、各グループが獨(dú)自の色を出すために、あるいはパフォーマンスの幅を広げるためにという目的がある。しかしそれ以外の理由の一つにカバー曲の著作権問(wèn)題がある。これは以前からグレーゾーンとして認(rèn)識(shí)されてはいたが曖昧なままにされてきた部分でもある。だが中國(guó)で開(kāi)催される日本主催の大きなアイドルイベントでは、參加するグループにはオリジナル曲をやることという制限がある。つまり、中國(guó)地下アイドルにとって、日本のアイドルと同じ舞臺(tái)に立つにはオリジナル曲を數(shù)曲持つことが必須條件なのだ。

オリジナル曲があれば、配信やCD、MVの制作なども可能になり、収入源の多様化にもつながる。

中國(guó)の地下アイドルはなぜ日本のコンポーザーを求めているのか

中國(guó)には日本のアイドル曲に精通しているコンポーザーはまだまだ少なく、多くのグループが日本人コンポーザーを探している。

前述のように、全グループがオリジナル曲だけ披露するステージでは、當(dāng)然曲のクオリティーが問(wèn)われる。そのため、より良いオリジナル曲を求めて日本人コンポーザーを探す流れに拍車(chē)がかかっている。一部のファンから「中國(guó)人コンポーザーの曲はライブに向いていないものが多い」との指摘があるなどクオリティーは必ずしも高いとは言えず、日本人コンポーザーに目を向けざるを得ない狀況なのだ。それは中國(guó)語(yǔ)で歌う場(chǎng)合も同様で、日本人コンポーザーに作曲?編曲を依頼し、中國(guó)語(yǔ)の歌詞を別に用意するというケースも多い。

中國(guó)の地下アイドルと日本のクリエーターを結(jié)びたい

日本人コンポーザーにとってアイドル曲は海外市場(chǎng)に求められる數(shù)少ない分野だが、多くのコンポーザーはそのことを知らない。中國(guó)の地下アイドルグループと日本人コンポーザーを結(jié)ぶルートは非常に少なく、それを活用しているアイドルやコンポーザーも限られている。

そこで、中國(guó)の地下アイドル界を楽曲制作面から支援するために、私たちは24年10月に「海外日系アイドル宣伝部」として中國(guó)の地下アイドルグループと日本人コンポーザーをマッチングすることを目的とした活動(dòng)を開(kāi)始した。具體的な方法については割?lèi)?ài)するが、活動(dòng)を始めた理由はとてもシンプルで、日本のオタク文化が大好きな若い人たちが盛り上げたムーブメントを楽曲の面から支援できないかということだった。地下アイドルには、自主運(yùn)営で資金が乏しく、情熱だけで続けているグループがたくさんある。そのようなグループに日本のコンポーザーと一緒に曲を作り上げる機(jī)會(huì)を作り、オリジナル曲を愛(ài)情をもって大切に歌ってほしいと思っている。

ビジネスとしてではなく、あくまで自主的な支援として活動(dòng)を開(kāi)始してまだ4カ月だが、同じ思いを持つ日中の仲間の協(xié)力もあり、思いのほか早く楽曲制作支援について依頼をいただき実績(jī)を作ることができた?？讠偿撙馐謥护盲皮?、制作依頼は次第に増えている。まだまだ課題は多いが、せっかく始めたことなのでゆっくりと著実に良い音楽を提供できる環(huán)境を整えたいと思う。このようなニッチな分野でも、お互いを必要としているこのような交流があることをぜひ知っていただきたい。

■筆者プロフィール：吟遊 旅人

高校時(shí)代よりプロを目指してバンド活動(dòng)に沒(méi)頭。慶應(yīng)義塾大學(xué)法學(xué)部卒業(yè)後、夢(mèng)かなわず就職。いくつかの企業(yè)でブラジル、フランス、中國(guó)に約12年赴任。異國(guó)の地で言葉が不自由でも音楽でつながり合えることを?qū)g感。中國(guó)には飲食企業(yè)にて進(jìn)出、現(xiàn)地法人を設(shè)立し、上海と天津で店舗オープンを経験して帰國(guó)。2021年に獨(dú)立。フランスや中國(guó)で日本の漫畫(huà)やアニメ、ゲームやアイドルといったオタク文化がZ世代を中心に多大な影響を與えていることに興味を持ち、中國(guó)のSNSや動(dòng)畫(huà)サイトでZ世代と直に交流を深めながらウォッチを続けている。