「R1」モデルのリリースからわずか7日でユーザー1億人を獲得し、世界から熱視線を浴びることとなったディープシーク（DeepSeek、深度求索）。その旋風(fēng)は勢いを増し、中國では産學(xué)官を問わず急速に導(dǎo)入が進(jìn)んでいる。一方で「AI失業(yè)」の問題も浮上してきた。

急ピッチで普及するディープシーク

中國でディープシークが急速な浸透を続けている。深セン市では行政業(yè)務(wù)の効率化を目的に導(dǎo)入が始まり、市政府のクラウド環(huán)境を活用して、各區(qū)や部門へサービスを提供している。広州市でも「V3」を使ったスマート行政システムの構(gòu)築が進(jìn)んでおり、文書処理や審査時間の短縮に成功したことが報告されている。

さらに、天津港では港灣業(yè)務(wù)のスマート化を目指し、ディープシークのローカライズが完了。書類処理、コンテナの積み下ろし、車両管理、船のスケジュール管理など複雑な業(yè)務(wù)を効率化し、安全リスクの軽減や物流コストの削減に役立てていくことが期待されている。

中國EVへのAI投入が加速

スマートフォンやプロジェクターなどの電子製品やアプリ、クラウドサービスなど、さまざまな分野で採用が進(jìn)むディープシークだが、自動車業(yè)界も例外ではない。中國の主要EVメーカーである吉利（ジーリー）、BYD、長安、奇瑞、長城などは、音聲認(rèn)識や自動運(yùn)転支援機(jī)能の強(qiáng)化を目的にディープシークを活用している。

東風(fēng)集団も自社ブランドのスマートコックピットシステムにディープシークのAIを組み込み、音聲アシスタントの精度向上に役立てたという。ディープシークは低コストで高性能なオープンソースとして提供されており、今後も車載システムでの利用が進(jìn)むことが予想される。

中國経済の回復(fù)をけん引

ディープシークの躍進(jìn)は世界の長者番付にも影響を與え、ディープシーク創(chuàng)業(yè)者の梁文峰氏の個人資産がエヌビディアのジェンスン?フアンCEOの個人資産を超える可能性まで報じられている。

ディープシークへの高評価は、グローバルヘッジファンドによる中國市場への投資に寄與し、中國株式市場のパフォーマンス向上にもつながっているとされる。

モルガン?スタンレーのストラテジストは中國関連株式の指數(shù)が2025年末に大きく上昇する可能性を示唆しており、AI技術(shù)の進(jìn)展が消費(fèi)財需要を創(chuàng)出し、AIエンジニアの求人増加にも寄與していくと予想されている。

産業(yè)構(gòu)造に激震、「AI失業(yè)」の懸念も

ディープシークの臺頭は既存の産業(yè)構(gòu)造に大きな変化をもたらしている。例えば、検索エンジンの百度（バイドゥ）の広告ビジネスは厳しい狀況に置かれることとなった。今後の業(yè)績に影を落とす可能性も指摘される。一方、アリババはクラウドやAIインフラに過去最大規(guī)模の投資を行う姿勢を示している。

「AI失業(yè)」の問題が現(xiàn)実味を帯びてきたことも看過できない。醫(yī)療分野でも、AI診斷技術(shù)が醫(yī)師の負(fù)擔(dān)を軽減する一方で、患者がAIの推奨を重視する傾向が強(qiáng)まっていくことが予想される。醫(yī)療サービスの形態(tài)が大きく変わる可能性がある。

このほか、AIによる判斷の責(zé)任や、生成AIの成果物に関する著作権問題など、法的な整備も急務(wù)になると推測される。（提供/邦人Navi）