中國の新エネルギー車業(yè)界は損失拡大で再編必至、日系合弁企業(yè)は生き殘れるか

高野悠介    2025年4月29日(火) 18時40分

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中國で新エネ車業(yè)界の淘汰と再編は避けられないとみられている。寫真は上海の道路。

電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)の「新エネルギー車」業(yè)界の淘汰と再編は避けられない。この議論は中國メディアの主流となっている。

多すぎる新エネ車メーカー

中國自動車流通協(xié)會乗用車市場情報連席分會(乗連分會)によると、3月の新エネルギー車の販売臺數(shù)は前年同月比39%増の98萬8000臺で、全乗用車に占める割合は51.1%だった。このところ50%前後で推移し、乗連分會の25年見通しの57%には屆かず、想定を下回った。

中國の企業(yè)情報サイト「天眼査」によると、中國には新エネルギー車関連企業(yè)が142萬7000社あり、24年は33萬2000社、25年はこれまでに6萬5000社が新規(guī)登録された。

乗連分會はこのほど、中國の第1四半期(1~3月)における新エネルギー車の卸売販売臺數(shù)を発表した。このデータには45社記載されており、完成車メーカーが少なくとも45社存在することになる。関連企業(yè)數(shù)はもとより完成車メーカーも多すぎだろう。

ランキング上位は以下の通り。

1位 BYD 98萬6098臺

2位 吉利汽車 33萬9200臺

3位 テスラ中國 17萬2754臺

4位 上汽通用五菱 16萬8974臺

5位 長安汽車 15萬9902臺

6位 奇瑞汽車 15萬5785臺

7位 小鵬汽車 9萬4008臺

8位 理想汽車 9萬2864臺

9位 零跑汽車 8萬7552臺

10位 小米汽車 7萬5625臺

7~10位は新エネルギー社製造のため新たに設(shè)立された「造車新勢力」が占めているが、生き殘れるのだろうか。

生き殘りの條件は事業(yè)規(guī)模

経済メディアの財経頭條は、資金量だけでは生き殘れず、事業(yè)規(guī)模が生死を決すると論じている。新エネルギー車事業(yè)は従來メーカーか新勢力を問わず、多額の研究開発投資、低価格競爭、急速な業(yè)容拡大というビジネスモデルで、その結(jié)果、業(yè)界全體で損失を拡大させ続けている。

中國自動車流通協(xié)會によると、中國の24年の自動車業(yè)界の総収入は前年比4%増の10兆6500億元(約213兆円)だが、利益は同8%減の4623億元(約9兆2460億円)だった。業(yè)界の利益率は4.3%にすぎず、工業(yè)企業(yè)の平均6%を大きく下回る。業(yè)界のコストは5%上昇し、70以上のブランド、330以上のモデルが価格競爭に巻き込まれ、1臺當たりの利益を著しく圧迫した。

年間販売臺數(shù)が30萬臺を超えてようやく収益が生まれ、50萬臺以上でコスト面で優(yōu)位に立ち、100萬臺超えて初めて持続可能な競爭力が形成されるという。

三つの「規(guī)模の効果」

業(yè)界トップのBYDの24年の売上高は前年比29%増の7771億200萬元(約15兆5420億円)、純利益は同34%増の402億5000萬元(約8050億円)だった。過去3年間の1臺當たりの利益は22年が17萬4000元(約348萬円)、23年が15萬9000元(約318萬円)、24年が14萬5000元(約290萬円)と低下したが、1臺當たりのコストも22年が14萬4000元(約288萬円)、23年が12萬3000元(約246萬円)、24年が11萬2000元(約224萬円)と同じように低下した。

これらは以下の三つの「規(guī)模の効果」によるものだと指摘されている。

1.調(diào)達規(guī)模の効果

中國の調(diào)査會社?高工産業(yè)研究院によると、自動車メーカーが年間30萬臺販売すると、電池材料の調(diào)達コストは18~22%低下する。

2.生産規(guī)模の効果

テスラの上海ギガファクトリーは稼働率が95%に達しており、1臺當たりの製造コストは同社の米國工場より30%低い。

3.研究開発規(guī)模の効果

BYDは24年に研究開発費542億元(約1兆840億円)を投じた。これを販売臺數(shù)427萬臺で割ると、1臺當たり1萬2700元(約25萬4000円)となる。23年の研究開発費は396億元(約7920億円)で、1臺當たり1萬3100元(約26萬2000円)だった。吉利汽車の24年の研究開発費は1臺當たり前年比18%減の1萬2700元(約25萬4000円)だった。

中國自動車工業(yè)協(xié)會によると、新エネルギー車メーカー大手26社の研究開発費は36.8%増加したが、利益は9.7%しか増加していない。

造車新勢力の戦略

造車新勢力トップの理想汽車の24年の売上高は1445億元(約2兆8900億円)だったが、純利益は前年の118億元(約2360億円)から80億元(約1600億円)へと31.9%減少した。1臺當たりの利益率も21.5%から19.8%に低下した。その原因は製品ミックスや価格戦略によりコスト削減効果が相殺されたためだという。

零跑汽車の24年の売上高は321億6400萬元(約6432億8000萬円)で、前年比92%増と急進した。利益率は前年の0.5%から8.4%へと急上昇した。しかし、24年通年では28億2000萬元(約564億円)の赤字となった。

小鵬汽車は「MONA M03」と「P7+」の2車種がヒットし、24年の売上高は前年比33.2%増の408億7000萬元(約8174億円)だった。利益率は1.5%から14.3%へと大幅に上昇した。

小米汽車は24年3月に初のEV「SU7」を発売し、新エネルギー車業(yè)界に參入した。同社の24年の売上高は328億元(約6560億円)で、純利益は62億元(約1240億円)の赤字となり、利益率は18.5%だった。1臺當たり4萬5300元(約90萬6000円)の損失を出している。

造車新勢力の中で黒字を確保したのは理想汽車だけで、大規(guī)模な利益には程遠い。そのため、造車新勢力は自動運転や高速充電などニッチな分野での競爭力を磨き、生き殘りを目指す。

小鵬汽車は24年に研究開発費の50%超に當たる50億元(約1000億円)を自動運転システムに投じた。理想汽車は獨自の自動運転技術(shù)、蔚來汽車は自社開発チップや電池交換技術(shù)に注力している。各メーカーは獨自の技術(shù)力で淘汰や再編の波を乗り切ろうとしている。

日系合弁企業(yè)に変化

先述の中國の第1四半期における新エネルギー車の卸売データの下位には日系合弁企業(yè)が並ぶ。

31位 広汽トヨタ 4943臺

33位 東風ホンダ 4265臺

34位 広汽ホンダ 4134臺

36位 一汽トヨタ 3094臺

40位 長安マツダ 2500臺

しかし今年は大きく変貌しそうだ。広汽トヨタのEV「bZ3X」が3月6日に発売され、1時間で1萬臺を受注した。日系企業(yè)の突破口となりそうだ。ただし生き殘りの條件は中國各社と変わらず、大規(guī)模な利益と突き抜けた技術(shù)を両立しなければならない。新エネ車関連企業(yè)142萬7000社の中から有用な提攜先を発掘し、淘汰と再編を主導していきたい。直近では各社の合弁相手、第一汽車、東風汽車、長安汽車の3社が國主導で戦略的再編を?qū)g施すると伝えられた。背景が大きく変わり、時間が切迫してきた。

■筆者プロフィール:高野悠介

1956年生まれ、早稲田大學教育學部卒。ユニー株(現(xiàn)パンパシフィック)青島事務(wù)所長、上海事務(wù)所長を歴任、中國貿(mào)易の経験は四半世紀以上?,F(xiàn)在は中國人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中國最新のB2Cビジネスと中國人家族について、ディ-プな情報を提供。著書:2001年「繊維王國上?!箹|京図書出版會、2004年「新?繊維王國青島」東京図書出版會、2007年「中國の人々の中で」新風舎、2014年「中國の一族の中で」Amazon Kindle。

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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