「北朝鮮は核保有國」=気になるトランプ発言の真意は?―米國向け核ミサイル放棄で取引か

山崎真二    2025年4月22日(火) 17時30分

拡大

トランプ米大統(tǒng)領(lǐng)の「北朝鮮は核保有國」という発言が波紋を広げている。寫真は平壌。

トランプ米大統(tǒng)領(lǐng)の「北朝鮮は核保有國」という発言が波紋を広げている。北朝鮮の「非核化」を求める従來の米國の方針から転換するのではないかとの懸念の聲も聞かれる。

重大視すべきでないとの意見も

トランプ大統(tǒng)領(lǐng)は2期目の就任式當日の1月20日、ホワイトハウス執(zhí)務(wù)室で記者団に対し北朝鮮の金正恩総書記について「彼とはとても関係がよかった。核保有國だがうまくやれた」と述べた。続いて3月上旬、ホワイトハウスで行われた北大西洋條約機構(gòu)(NATO)のルッテ事務(wù)総長との會談の際、金正恩総書記とは「非常に良い関係にある」とした上で、北朝鮮は「明らかに核保有國だ」と指摘。さらに3月末、ホワイトハウスでの記者會見で「金正恩氏は巨大な核保有國の指導者だ」との考えを示した。一部米ネットメディアによると、4月に入ってからも、トランプ大統(tǒng)領(lǐng)は側(cè)近らとの私的會合の席で「北朝鮮はインドやパキスタンと同様、核兵器の保有國だ」などと口にしているという。

トランプ大統(tǒng)領(lǐng)はしばしば、不正確な表現(xiàn)や言葉遣いをすることがあり、今回も本當に「核保有國」が何を意味するのか正確に理解せずに使用したのかもしれないとして重大視すべきでないとの意見もある。その一方、「北朝鮮は核保有國」発言は、従來の米政府の方針を転換したいというトランプ大統(tǒng)領(lǐng)の本音の表れではないかとの憶測も流れる。

北朝鮮の「非核化」、現(xiàn)実には困難か

トランプ氏発言の真意がどうであれ、客観的にみると、北朝鮮の核開発をやめさせるのが困難な狀況にあるのは確かだろう。北朝鮮が2021年の朝鮮労働黨第8回黨大會で決定された「國防5カ年計畫」の下で核?ミサイル能力をはじめとする軍事開発を著々と進めているのは周知の通り。ストックホルム國際平和研究所(SIPRI)の24年の資料によれば、北朝鮮は既に50発の核弾頭を保有。核弾頭を運搬する手段である射程1萬5000キロ以上で全米に屆く大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射にも次々に成功したと伝えられる。北朝鮮の憲法には「核保有國」と明記されており、22年には最高人民會議(國會に相當)で核兵器の具體的使用條件などを定めた「核武力法令」が採択された。

「核は絶対放棄しない」と公言する金正恩総書記は今年に入り、核増産方針を示したほか、核抑止力の強化を目指す「新たな計畫」にも觸れ、海軍の核武裝化にも力を入れる考えを明らかにしている。韓國メディアによれば、北朝鮮は7回目となる核実験をいつでも行える狀態(tài)にあるという。國際原子力機関(IAEA)のグロッシー事務(wù)局長も北朝鮮を核保有國として認めざるを得ないとの見解を示している。北朝鮮の「非核化」は現(xiàn)実には極めて難しいと言わざるを得ない。

日本にとって悪夢のシナリオも

こうした中、米政府高官は北朝鮮の「非核化」を求める立場に変更はないと強調(diào)し、トランプ氏の発言は非公式なものと印象づけようとしているようだ。例えば、國家安全保障會議(NSC)報道官は先ごろ、北朝鮮の核開発に関し「1期目で行ったように、トランプ政権は北朝鮮の完全な非核化を追求する」と表明した。ルビオ國務(wù)長官も2月半ば、ドイツ?ミュンヘンで行った韓國の趙兌烈外相との會談で米韓両國が「北朝鮮の完全な非核化」という目標を堅持することを確認している。米高官も先のトランプ大統(tǒng)領(lǐng)と石破首相との日米首脳會談で北朝鮮の完全な非核化に向けたコミットメントを確認したことをことあるごとに指摘する。

だが、トランプ大統(tǒng)領(lǐng)が金総書記とのトップ會談に意欲を示しているのは間違いなく、再び米朝首脳會談が行われた場合、トランプ大統(tǒng)領(lǐng)が金総書記に対し核保有を認めるのではないかという疑念はぬぐい切れない。その場合には北朝鮮に「非核化」を求めるのではなく、核兵器の管理?削減などを議題とする軍備管理交渉になるとの見方が米軍事専門家の間で取りざたされている。

「『米國ファースト』のトランプ大統(tǒng)領(lǐng)が米國に屆くICBMの放棄や削減と引き替えに、北朝鮮の核保有を容認するディール(取引)を行い、日本や韓國が射程に収まる核ミサイルの放棄などは求めない可能性は否定できない」(北朝鮮問題専門家)と予測する向きもある。そのような事態(tài)は日本にとって悪夢のシナリオだろう。米朝首脳會談がいつ、また行われるのか、そして北朝鮮の核問題がどう扱われるのか、大いに気になるところだ。

■筆者プロフィール:山崎真二

山形大客員教授(元教授)、時事総合研究所客員研究員、元時事通信社外信部長、リマ(ペルー)特派員、ニューデリー支局長、ニューヨーク支局長。

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

noteに華流エンタメ情報を配信中!詳しくはこちら

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China?記事へのご意見?お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業(yè)務(wù)提攜

Record Chinaへの業(yè)務(wù)提攜に関するお問い合わせはこちら

業(yè)務(wù)提攜