<寫真特集>靜かなる故郷―霧に覆われた山水

恒父   2016年8月5日(金) 15時0分

周囲の喧噪に惑わされず、ただ寡黙な平常心で創(chuàng)作を続ける風景寫真家?恒父。そのストイックさは晩秋の早朝のように、身を引きしめ、また寂寞を感じさせる作品群となって表れている。

「恒父(ハンフー)の作品世界は、『禪』という一言が體現(xiàn)するように思う」。アートシーンで活躍する若手編集者兼カメラマンの傅為新(フー?ウェイシン)氏は、フォトグラファー?恒父を簡潔にこう評した。その心は靜かで涼やか、一點の曇りなく、超然として自由闊達の境地に漂っている。そして寫真は“記録する”という機能を抜け出して、蕓術の翼を広げ出すと。

同氏によれば、風景寫真家の恒父は孤高を愛する蕓術家。既存のスタイルの模倣に終始し、功利主義が叫ばれ、少々うわつき気味な現(xiàn)代中國の寫真美術界だが、恒父はそんなメインストリームを嫌い、寡黙な平常心を保ち、“自然より出で自然に帰するような”忘我の境地で創(chuàng)作を続ける。本人自身も、こう語っている?!附痄E、美しい風景…そんなものは容易に見つかる。しかし、それでは心は動かない。體裁、形式、形あるもの……そんなものは容易につくろえる。しかし、自我の確立には至らない。風雨に耐え、喧騒を避け、我を忘れた者こそが蕓術の修練を続けることができるのである」。

そんなストイックな彼の作品群「靜かなる故郷」は、肌寒さを體感させるようなひんやりとした空気感に包まれている。霧や靄のベールに覆われた山水。その清澄さは晩秋の早朝のようであり、身を引きしめ、また寂寞を感じさせる。(文/山上仁奈)

●恒父(ハンフー)

1960年生まれ、浙江省開化県出身。風景寫真家。浙江省杭州市を拠點に創(chuàng)作活動をしている。代表作に「靜かなる故郷」「生命の形式」「水の伝説」など。

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