鈍色の風(fēng)景に浮かび上がる色彩たち。どこか寂寞とした風(fēng)景の中に、ふと現(xiàn)れる人物。その光景は荒涼としているのに、なぜか懐かしく、切ないほど抒情的である。

鐘[巾韋]（ジョン?ウェイ）はファインダーを覗く時(shí)、その風(fēng)景の中に心を解き放つ。そして、言葉にならない感情が畫面に溶け込んでいく。シャッターを切るたびに、彼は自分の心が地球と會(huì)話していると言う。

彼の切り取る風(fēng)景はすべて、不思議な既視感に包まれている。それは、彼がいつかどこかで感じた心象風(fēng)景を、現(xiàn)実の風(fēng)景の中に追い求め続けているからかもしれない。そうとするならば、彼の寫真は現(xiàn)実の寫し絵でありながら、彼の心を象徴する抽象畫とも言えるだろう。

「私は撮影の旅に、いつか読んだ本、観た映畫、聴いた音楽、そして、かつて愛(ài)した人の印象や面影を連れていきます。そして、旅先で見(jiàn)た風(fēng)景の中にそれらの影を見(jiàn)出し、カメラで撮影するのです。」

過(guò)去に患ったといううつ病の経験を経て、彼は旅と寫真撮影に癒しを見(jiàn)出した。彼の心の底流は、現(xiàn)実の光景を超えて見(jiàn)る者に語(yǔ)りかけ、その心をも癒してくれるようだ。（文/中野今日子）

●鐘[巾韋]（ジョン?ウェイ）

1971年生まれ。09年に寫真家としての活動(dòng)を始めてから、旅と撮影にのめり込むようになる。以後、風(fēng)景を中心とした抒情的な寫真を発表し続けている。代表作に「憂いのハルハ川」「時(shí)間」「再び西島へ」など。