<寫真特集>被寫體の薄い寫真の美―幽玄と力強さ

吟寂   2016年7月21日(木) 19時40分

「寫真は捉えた畫面の外側(cè)にあるものを追究しないとならない」と語る寫真家の吟寂。彼の作品は、個々の被寫體にフォーカスしているというよりも、畫面に寫りこんだ各要素で成り立つコンポジションに重きが置かれている。

「寫真は単なる被寫體の再現(xiàn)であってはならないし、時間や風(fēng)物の変遷を記録するものであってもならない。捉えた畫面の外側(cè)にあるものを追究しないとならない」と語る寫真家の吟寂(インジー)。風(fēng)景寫真を中心とした彼の作品は、個々の被寫體にフォーカスしているというよりも、畫面に寫りこんだ各要素で成り立つコンポジション(畫面構(gòu)成)に重きが置かれている。被寫體の存在は薄く、あまり重要視されていないのだ。

全體に薄くベールのかかったような畫面は山水畫の幽玄の世界のようで、ぼんやりとやわらかな靜寂に包まれている。しかし、水、森、空といった背景を大きな余白に見立て、要所要所に置かれた被寫體(あるいは前景)とダイナミックな対比をなして大膽な畫面構(gòu)成を形作り、シンプルながら力強さも秘めている點が大きな特徴だ。

作品のタイトルも「日暮平沙秋草亂」「舟行清淺水村晩」「帯酔扶帰」などまるで漢詩を思わせるような情緒あるものが並び、作品の世界により一層含みを持たせている。(文/山上仁奈)

●吟寂(インジー)

浙江省青田県出身。寫真家、大學(xué)寫真教師。中國寫真家協(xié)會會員。代表作に「寒江空憶」「空山人語」「舟行清淺水村晩」など。

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