江蘇省揚(yáng)州市は中國(guó)の古都の1つだ。その歴史は紀(jì)元前486年に始まり、獨(dú)特の地形や自然環(huán)境によって漢代から清代までのほぼ全時(shí)代にかけて繁栄を遂げてきた。一時(shí)期は東アジアで最も富が集まった場(chǎng)所とも言われている。唐の時(shí)代、危険を冒して日本に渡った鑑真（688?763年）は揚(yáng)州の出身だ。

揚(yáng)州を拠點(diǎn)に活動(dòng)するカメラマン、劉?。ē辚?ジエン）はそんな地元の下町の風(fēng)景をカメラに収めた。揚(yáng)州には古い路地が500本以上あると言われており、最も短いものは20メートル足らず。幅は1?2メートル程度だが、中には70センチという路地もある。ここで聞こえてくるのは自転車(chē)がゆったりと通る音、物売りの聲、“流しのアーティスト”が奏でる旋律―。朝から晩まで靜まり返ることはなく、これらは住民の日常の一部になっている。

路地に沿って建ち並ぶ古い家々は、過(guò)去から現(xiàn)代に至るまでさまざまな住民の人生模様を眺めてきた。ここで紡がれたストーリーは幾千にも上るはずだが、それらは歳月という大河の流れに呑まれ、流され、永遠(yuǎn)に消えてしまった。（編集/野谷）

●劉?。ē辚?ジエン）

中國(guó)江蘇省揚(yáng)州市を拠點(diǎn)に活動(dòng)する「70後（1970年代生まれ）」。カメラマン、設(shè)計(jì)士、カフェ店主などさまざまな顔を持つ。自身のことを「作品はあるが著作と呼べるものはない。なまりはあるが、ノスタルジーなど抱いていない。思うところは多いが、はっきりとした考えは浮かばない」と語(yǔ)る。