如月隼人 2017年6月9日(金) 15時10分
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6月になり、中國は臺灣との連帯をアピールする情報を立て続けに出した。中國が過去に繰り返し使ってきた「敵の中に味方を作る」手法を本格化させていく可能性がある。寫真は臺灣総統(tǒng)府。
6月になり、中國の臺灣に対する情報発信が、これまでとはやや違ってきたように思える。2016年5月に臺灣で蔡英文政権が発足してからは、臺灣に対して極めて厳しい姿勢を見せてきたが、臺灣との連帯をアピールする情報を立て続けに出した。中國が過去に繰り返し使ってきた「敵の中に味方を作る」手法を本格化させていく可能性がある。
中國は蔡英文政権にたいして「ひとつの中國」の原則を認めていないとして、極めて厳しく接している。まず、臺灣を訪れる大陸人客が激減した。中國當局の意向を反映したものとされている。16年12月には、アフリカの島國サントメ?プリンシベが中華民國(臺灣)と斷交して中國と國交を樹立した。中國からの巨額の支援申し出が理由と見られている。
中國にとって、國際関係で臺灣が孤立するほど自國にとって有利だが、2008年から16年までの馬英九政権時代には外交攻勢を控えた。蔡英文政権の発足と前後して、再び臺灣を孤立させる作業(yè)に盡力しはじめたと見てよい。
17年5月22日からスイス?ジュネーブで始まった世界保健機関(WHO)の年次総會(WHA)では、このところオブザーバーとして參加していた臺灣が出席できなかった。中國は、蔡英文政権が「ひとつの中國」を認めていないことを理由として拒絶したことを明らかにした。
臺灣ではこの「WHA門前払い」で、雰囲気の変化が生じた。臺灣最大野黨の國民黨は、「ひとつの中國」を支持し、対中関係に支障をきたしているとして蔡英文政権への批判を続けている。蔡英文政権はその他の問題でも政策推進が停滯しており、支持率は低落しつづけてきた。
ところが、馬英九政権で副総統(tǒng)を務(wù)めた呉敦義氏は5月上旬、WHOは「政治意識に関係のない人類の安全に関係する國際組織」として、年次総會について「臺灣の參加を妨害すべきではない。これは両岸(中國大陸と臺灣)がつき合う上での最低限の人道だ」と中國を批判。
また、馬英九前総統(tǒng)の対中政策推進において重要なブレーンを務(wù)めた淡江大學中國大陸研究所の趙春山専任教授も、同様の理由で中國を批判した。
臺灣政治の「近未來」について中國にとってもっとも望ましいシナリオは、蔡英文政権、ひいては民進黨など「臺灣獨自路線」を主張する政治勢力が支持を失い、2020年の総統(tǒng)選挙で國民黨政権が返り咲くことだろう。とすれば、國民黨の主要人物からの大陸批判が高まったのでは、國民黨政権が復(fù)活しても當初の目論見が成り立たなくなる可能性が出てくる。しかも、呉氏は5月20日の國民黨主席(黨首)選に勝利し、次期主席になることが決まった人物だ。
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