中國(guó)側(cè)の姿勢(shì)の変化をまず感じることができたのは臺(tái)灣問(wèn)題を擔(dān)當(dāng)する政府部門(mén)である國(guó)務(wù)院臺(tái)灣事務(wù)弁公室（國(guó)臺(tái)弁）が今月3日、臺(tái)灣北部で1日夜から2日にかけて発生した大雨被害について、被災(zāi)者を見(jiàn)舞い犠牲者を哀悼する聲明を発表したことだ。國(guó)臺(tái)弁は同日、フィリピンで2日に発生したホテル襲撃事件で臺(tái)灣人4人が死亡した件についても哀悼の意を示し「必要なすべての協(xié)力をしたい」と発表した。國(guó)臺(tái)弁は中國(guó)政府として、臺(tái)灣社會(huì)に対する「連帯感の表明」を立て続けに発表したことになる。

さらに、世界海洋デーの8日には、福建省廈門(mén)（アモイ）市海洋漁業(yè)局と沖合いにあり中華民國(guó)（臺(tái)灣）が統(tǒng)治する金門(mén)県（金門(mén)島）の水産試験所が合同で、フウセイや真鯛などの稚魚(yú)366萬(wàn)匹を放流した。同ニュースはまず中國(guó)國(guó)営の新華社が報(bào)じ、引用する形で臺(tái)灣國(guó)営の中央社など臺(tái)灣側(cè)メディアが報(bào)じた。

臺(tái)灣で民進(jìn)黨支持者など「臺(tái)灣の獨(dú)自性」を強(qiáng)調(diào)する層は、環(huán)境問(wèn)題を重視する層と重なっている。大陸側(cè)と合同であっても、稚魚(yú)放流など海洋環(huán)境を向上するための動(dòng)きには、理解を示す可能性が高いと言える。

ここで思い出されるのが、中國(guó)が対立する相手との膠著狀態(tài)を打破するために繰り返し使ってきた「敵の中に味方を作る」手法だ。本コラム欄でも紹介したことがあるが、過(guò)去には國(guó)共內(nèi)戦時(shí)に、國(guó)民黨內(nèi)部の反蔣介石グループをも取り込んで、統(tǒng)一戦線を組織した。

また1960年代からは、日本國(guó)內(nèi)で中國(guó)との國(guó)交正?；蚯螭幛肼暏ⅳ晟悉毪瑜Δ丹蓼钉蓼蕛Pきかけをした。自民黨政権は戦後一貫して「中華民國(guó)支持」だった。1964年から72年7月まで続いた佐藤栄作政権は終盤(pán)になってから中國(guó)との國(guó)交正常化に意欲を示すようになったが、中國(guó)は相手にしなかった。日本では世論を受けて、次期首相を目指す政治家すべてが自らが政権を擔(dān)當(dāng)したら中國(guó)との國(guó)交回復(fù)を?qū)g現(xiàn)すると言わざるをえなくなった。

この時(shí)に中國(guó)は「さらに細(xì)かい蕓」も披露している。日中國(guó)交正?；郧挨摔?、財(cái)界の主流とは言えないが、中國(guó)との取り引きを行っている一群の企業(yè)があった。中國(guó)側(cè)は「友好商社」、「友好企業(yè)」などと呼び、優(yōu)遇していた。

ところが、日本で國(guó)交正?；螝葸\(yùn)が高まると、日本の「友好企業(yè)」の間では「國(guó)交が樹(shù)立され、大企業(yè)が中國(guó)ビジネスに乗り出すと、自分らは疎外されてしまうのでは」との不安が生じた。中國(guó)の周恩來(lái)首相は同問(wèn)題に対して「古い友人は大切にします。同時(shí)に新しい友人も歓迎します」と述べたという。

単純で抽象的な発言だったが、聲望の高い周首相の発言は「友好企業(yè)」の懸念を払拭するに十分で、友好企業(yè)は改めて中國(guó)との関係強(qiáng)化に努めるようになったという。

さて、中國(guó)の対臺(tái)灣政策だが、これまでは蔡英文政権に対する批判と非難に力を入れていた。臺(tái)灣社會(huì)でも政権批判が高まったが、中國(guó)大陸に対しても「悪感情の高止まり」という現(xiàn)象が発生していたように見(jiàn)える。中國(guó)大陸は今後、蔡英文政権を強(qiáng)く批判しつづけると同時(shí)に、親中國(guó)派や一般民衆(zhòng)に対しては、中國(guó)に対する親近感を可能な限り高める施策を強(qiáng)める可能性がある。

馬英九政権時(shí)、中國(guó)の対臺(tái)灣政策は「鳴かぬなら鳴くまで待とう」というおもむきがあった。臺(tái)灣を優(yōu)遇して、統(tǒng)一の気運(yùn)が高まるのを見(jiàn)守ろうとした。しかし失敗した。蔡英文政権発足からは「鳴かぬなら殺してしまえ」と方針を転換するかに見(jiàn)えた。すると、臺(tái)灣における「親中派」までが批判を始めた。

今後中國(guó)は、臺(tái)灣に対して「鳴かせてみよう」とこれまで以上に「知恵」を使い始める可能性がある。そのことが臺(tái)灣にとって「よい」ことなのかどうか、「まし」なのかどうかは予斷を許さない狀況だ。

■筆者プロフィール：如月隼人

日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強(qiáng)したが、何を考えたか北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿ァＨ毡兢藨盲皮椁鲜长伽毪郡幛司幖浾撙蚣跇I(yè)とするようになり、ついのめりこむ?！钢袊?guó)の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。

■筆者プロフィール：如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大學(xué)教養(yǎng)學(xué)部基礎(chǔ)科學(xué)科卒。日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強(qiáng)し、その後は北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿ァＨ毡兢藨盲皮椁鲜长伽毪郡幛司幖浾撙蚣跇I(yè)とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する?！钢袊?guó)の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。中國(guó)については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結(jié)局は得」が信條。硬軟取り混ぜて幅広く情報(bào)を発信。

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