麻生副総理の発言も、ヒトラーについて「一萬(wàn)歩譲って、仮に動(dòng)機(jī)が正しかったとしても駄目だ」といった表現(xiàn)だったら、反応はやや違ったのではないか。あるいは「すべての人民が平等であるユートピアを?qū)g現(xiàn)させようとする毛沢東の動(dòng)機(jī)は正しかったとしても、大躍進(jìn)や文化大革命で千萬(wàn)人規(guī)模の人を死なせた結(jié)果はだめだ」とでも表現(xiàn)すれば、もっとよかったのかもしれない。

「問(wèn)題あり」と解釈される発言をすれば、反対勢(shì)力から「集中砲火」を浴びることになる。まして、日本と対立點(diǎn)を持つ國(guó)にとっては、國(guó)際社會(huì)に対して自國(guó)の正當(dāng)性をアピールする「恰好の材料」になりかねない。

中國(guó)外交部の華春瑩報(bào)道官は8月31日の定例記者會(huì)見(jiàn)で、「日本國(guó)內(nèi)には依然として、歴史問(wèn)題について間違った認(rèn)識(shí)を頑固に堅(jiān)持する一部の政治勢(shì)力が存在する」と批判。さらに「われわれは改めて、日本國(guó)內(nèi)の一切の勢(shì)力に対し、妥當(dāng)で正しい歴史観を持ち、歴史から深刻に教訓(xùn)を汲み取り、実際の行動(dòng)をもって自國(guó)、アジアの隣國(guó)、國(guó)際社會(huì)の信用を得るよう求める」と述べた。

華報(bào)道官は麻生副総理の発言を、日本の政界に存在する問(wèn)題として拡大した。さらに「國(guó)際社會(huì)の信用を得るよう求める」と論じたことで逆に、「日本は國(guó)際的に信用を得ていない」との主張を込めたことになる。

もうひとつ興味深い點(diǎn)がある。華報(bào)道官に質(zhì)問(wèn)した記者は麻生副総理の発言について「ヒトラーはユダヤ人數(shù)百萬(wàn)人を虐殺した。動(dòng)機(jī)がどんなに正確であれ、これはだめだ」と紹介した上で、華報(bào)道官に考えを求めた。

麻生副総理の発言と比べて、「ユダヤ人」との言葉が追加されている。ナチス?ドイツの行った行為のうちでも、一般的に「最も許されない」とされているホロコーストを印象づける言い方になっていることが分かる。

質(zhì)問(wèn)した記者の所屬は明らかでないが、中國(guó)外交部の記者會(huì)見(jiàn)で中國(guó)系記者が質(zhì)問(wèn)した場(chǎng)合には時(shí)おり、質(zhì)問(wèn)部分をも含めて、自國(guó)政府の立場(chǎng)を印象づける質(zhì)疑応答が発生する場(chǎng)合がある。8月31日の質(zhì)問(wèn)についての真相は不明だが、メディアの獨(dú)立性が存在しない中國(guó)では、政府側(cè)が事前にメディアに対して質(zhì)問(wèn)內(nèi)容についての働きかけを行った上で、自らに都合のよい演出をする可能性があると考えておかねばならない。

外交的に利用される結(jié)果になったことを踏まえれば、麻生副総理の「ヒトラー発言」はやはり、思慮に欠いたと評(píng)せざるをえない。麻生副総理は研修會(huì)で、「國(guó)民に確たる結(jié)果を殘して初めて名政治家だったと言われる」とも発言した。つまり、「政治家は結(jié)果を出さねばならない」と強(qiáng)調(diào)することが真意だったという。

自派閥の「同志」に対して、結(jié)果を出す存在になることを求めるという麻生副総理の「動(dòng)機(jī)」は正しかったかもしれない。しかし中國(guó)政府の反応だけを見(jiàn)ても、「日本は歴史認(rèn)識(shí)について極めて大きな問(wèn)題のある國(guó)」とアピールする機(jī)會(huì)を中國(guó)に與える「結(jié)果」を招いてしまったことになる。

■筆者プロフィール：如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大學(xué)教養(yǎng)學(xué)部基礎(chǔ)科學(xué)科卒。日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強(qiáng)し、その後は北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿ァＨ毡兢藨盲皮椁鲜长伽毪郡幛司幖浾撙蚣跇I(yè)とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する。「中國(guó)の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。中國(guó)については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結(jié)局は得」が信條。硬軟取り混ぜて幅広く情報(bào)を発信。

Facebookはこちら
※フォローの際はメッセージ付きでお願(yuàn)いいたします。

ブログはこちら