<コラム>韓國には「化け物」みたいな人がときどきいる

木口 政樹    2018年12月12日(水) 0時(shí)40分

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今回は韓國のバス王、許明會(huì)(ホ?ミョンフェ)氏のことをご紹介したい。2000年にMBCという放送局で放映した番組が最近また再放送され、それを偶然見てこれはすごいと思ったからである。寫真は韓國?ソウル。

並み居る株主たちから毆る蹴るの暴力をうけたけれど、ほぼ無抵抗でやるがままにさせておいて自分は実質(zhì)だけを取った。でもこのとき髪の毛をつかまれてぐさっともっていかれ、それ以來頭のてっぺんの髪の毛がちょっと薄くなったそうだ。

20年後に社長になるという夢を2年短縮して晴れて社長になった許明會(huì)氏。さっそく京畿旅客の大改造に取り掛かる。経営のポイントは次の5つのキーワードだ。

(その1)決済書類の簡潔化。決済書類を社員が手に持って課長、部長、常務(wù)などとハンコをもらって動(dòng)く過程をなくし、社長みずからが社員のところに行って決済書類にハンコを押す。つまり社長が社長室にふんぞり返っているのではなくハンコをもって社員のほうへ行く。

(その2)社員の福祉優(yōu)先。社員は家族という思想の実踐だ。運(yùn)転手に対する給料を奧さんに直接あげるのだ。給料をもらうと必ず男たちは酒を飲んで花札などのばくちをするのが一般的だった。これを防ぐ方策としてやった方法である。食堂は健康なものを無料で食べられるようにし、クリーニング部門なども會(huì)社の中に作ってやった。

(その3)工場と直接取引。バスの所有臺(tái)數(shù)を増やすことによって、大量注文が可能となり、部品やタイヤなどを工場と直接に取引できるようにし、大幅な経費(fèi)節(jié)減を図る。

(その4)安全運(yùn)転と顧客重視。営業(yè)所に香水を常備し、運(yùn)転手は常に香水をふってからバスに乗るようにした。お客がいちばん先に觸れるのが運(yùn)転手。汗くさいにおいよりは涼しげの香水の香りのほうがいいに決まっている。またこれがおもしろいところだが、血?dú)菔ⅳ螭胜郡幛工挨堡螭颏筏郡晔鹿胜盲郡辘筏浃工い趣い碛嗓椤?6歳以下は採用しなかった。

また、責(zé)任感が弱いという理由からチョンガー(獨(dú)身者)も運(yùn)転手として採用しなかった。結(jié)婚していても家をもってない人もだめ。いい年をして家もないようでは人間としてどっか欠けたところがあるからという。容姿も大切にした。たとえばヤーさん風(fēng)の人は不採用だった。運(yùn)転手には運(yùn)転手としての風(fēng)貌があると許明會(huì)氏は考えている。

(その5)透徹した職業(yè)倫理。社長室には冷房も暖房もない。小さな機(jī)がちょこんとあるだけ。殺風(fēng)景そのもの。自分からハンコを押しに下に下りていくわけだから何もいらないのだという。

社長の車は中古車。修理に修理を重ねた年季ものだ。車の底が抜けそうになるまで使っていたと元社長付き運(yùn)転手は証言する。社長のこのようなマインドは社員たちにはすぐに伝わる。社長が一番苦労し働いているという認(rèn)識(shí)が全社員にあるため、社長の指示や會(huì)社の方針は社員には100%受け入れられる。労使紛糾は一度もなかったという。

ここまでが2000年の番組の內(nèi)容である。一つ書き忘れたことがあった。入社から2000年までの40年間で休んだのはたったの13日だけ。77年に父親の葬式で5日。79年母親の葬式で5日。86年に白內(nèi)障の手術(shù)のため3日。公休日も入れて欠勤したのは締めてこの13日だけだった。鬼のような會(huì)社人間だが、仕事が楽しいからなんの苦もないという。ワークアズライフそのものの人生だ。ワークライフバランスなどくそくらえなのである。

2000年のドキュメンタリー放送當(dāng)時(shí)、會(huì)社が所有するバスは合計(jì)2000臺(tái)であったが、2017年にはなんと5100臺(tái)となり、関連會(huì)社は合計(jì)15社にまで拡大していた。市內(nèi)バスを皮切りに市外バス、広域バス、空港バス、高速バスから観光バスまで運(yùn)営する韓國一のバス會(huì)社となっている。

さらに、大學(xué)をはじめとして高校、中學(xué)なども相當(dāng)數(shù)所有するなど教育分野でも大活躍だ。一兵卒から叩き上げ、韓國一のバス會(huì)社のCEOとなった許明會(huì)氏。4年ほど前に夫人に先立たれたが、今は息子の経営を補(bǔ)佐する立場で元?dú)荬巳铡─蛑幐瑜筏皮い搿?/p>

こんな會(huì)社で働いている人たちは、さぞ幸せなことだろう。許明會(huì)さんには娘が3人、息子が1人いて、その長女がわが妻と大學(xué)の同級生である。

長女が大學(xué)生のころ、ちょうど2年前倒して京畿旅客の社長となったころだけど、彼女は非常に質(zhì)素で、全然目立たなかったということだ。この長女のことや父親の許明會(huì)さんについては前から妻から聞いていたのだけれど、再放送の番組を見てわたし自身が本當(dāng)に感動(dòng)し、今回のコラムを書くことと相成った。こういう「化け物」みたいな人が韓國にはときどきいる。

■筆者プロフィール:木口 政樹

イザベラ?バードが理想郷と呼んだ山形県?米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結(jié)婚。元三星(サムスン)人力開発院日本語科教授、元白石大學(xué)校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓國』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。

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