赤崎（勇）?天野（浩）の青色発光ダイオードの研究も、20世紀(jì)中に実現(xiàn)不可能だと言われていました。ですから、予算がなかった。初期の頃に使っていた機(jī)械は全部手製です。よその教室が捨てた機(jī)械をもらってきて、自分たちで機(jī)械をつくるんです。それでノーベル賞をとりました。とったきっかけになった研究は、天野さんがまだ25歳のときのものです。修士（マスター）の時(shí)代に窒化ガリウムの結(jié)晶を作りました。25歳のときに、彼は1500回も失敗しています。毎日毎日失敗して、でも諦めなかった。そしてpn接合という、いわゆる光るものにしたのが28歳のときです。なぜ「適齢期」があるかというと、若い人というのは恐れを知らない、失敗してもくじけない。これが大事なことです。

ただ、赤崎さんという偉大な先生がいたからこそ、天野さんはずっとそれをやっていけました。赤崎先生は窒化ガリウムが大事だというところで、全然ぶれなかった。大先生がいて、恐れずに突進(jìn)していく人がいるという、この組み合わせが、名古屋大學(xué)の場(chǎng)合、うまくいっていたのです。失敗を失敗だと言える師弟関係が大事で、これはこうあるべきだと言ったら、科學(xué)は止まります。

＜中國(guó)では「メディチ効果」が始まっている＞

――ところで先生は、現(xiàn)代の中國(guó)の科學(xué)技術(shù)をどう見(jiàn)ていますか。研究開(kāi)発において、日本と中國(guó)の近いところはどんなところですか。

濱口：中國(guó)の科學(xué)技術(shù)の現(xiàn)狀は、データを見(jiàn)ますと、非常に勢(shì)いがあり、イノベーションの活気にあふれています。これはすばらしいことで、ノーベル賞に近づいているとも言えます。

ルネサンスがどうやって生まれたかという研究に「メディチ効果」というのがあります。それはどういうものかというと、メディチ家がイタリアのフィレンツェにヨーロッパ中の天才（レオナルド?ダ?ヴィンチもその一人です）を集めて、狹い地域でいろんなことを競(jìng)わせたのです。その中から新しい考え方や、科學(xué)の在り方みたいなものが生まれて、ヨーロッパはキリスト教社會(huì)から近代社會(huì)へと移行していったのです。中國(guó)では今、上海、深圳、香港などのエリアが、そういうような形を擔(dān)っているように思います。中國(guó)の新しい時(shí)代をつくっていくエンジンになってきています。

ただ、その先にどういう豊かさの価値観を描いていくかという、もう1つ別の問(wèn)題があります。最先端技術(shù)だけをずっと追っていったのが、一時(shí)期の日本でした。確かに最先端技術(shù)はたくさん生まれましたが、決してそれだけで、30年前、40年前と比べて幸せになったかというと、ちょっと分からない。

現(xiàn)代社會(huì)というのは、昔のドイツ語(yǔ)の言葉を使うと、ゲマインシャフト（共同社會(huì)）からゲゼルシャフト（利益社會(huì)）への転換です。つまり、伝統(tǒng)的な地域コミュニティーである農(nóng)村社會(huì)から、都市の生活に移ってきて、個(gè)人は、自分の生まれたところや家族、近隣の中で自分というものができてくるのではなくなった。どこかの大學(xué)に入って、どこかの會(huì)社に入って、何をやっているかでその人の価値が決まってしまいます。自分の生まれてきたバックグラウンドを全部捨て去って、個(gè)人として生きていく世界に入っていくわけです。

近代的な自我としては、それは実はわれわれのある種の概念的な哲學(xué)的な理想だったと思います。だけど、この東京では、個(gè)人はかなり近代社會(huì)での孤獨(dú)感を深くしている部分があります。それは北京を見(jiàn)ていても感じることです。この問(wèn)題を、もっとみんなが冷靜に議論をしていかなければいけません。

＜日中の交流は顔と顔が見(jiàn)える形で＞

――現(xiàn)在の中國(guó)と日本は経済の面でともに発展していますが、科學(xué)技術(shù)でもともに発展することはできるでしょうか。

濱口：もう少し顔と顔がつながるような関係をつくらないといけないと思います。1つの変化が2つの問(wèn)題を生み出しているからです。1つの変化というのは、中國(guó)の発展が非常に早く、量的にもすごい量が動(dòng)いていることです。上海も、最初に行った頃は地下鉄が1本しかなかったし、高速道路もなかったけど、今はすごいです。北京も最初に行ったときは、車(chē)が少なく自転車(chē)がいっぱい走っていました。真っ暗になってもみんな自転車(chē)を走らせて、本當(dāng)に働き者だなと思い、印象深かった。その狀況からずっと経って、今や世界最先端の科學(xué)技術(shù)開(kāi)発ができるところまで來(lái)ています。

このギャップがどういう問(wèn)題を生み出しているかというと、1つは古い日本人たちは、古い中國(guó)の記憶のまま、今も中國(guó)を見(jiàn)ているところがある。だからズレがあります。それから、若い中國(guó)の人たちは、日本と何かをやってきたという體験があまりなくて、アメリカを見(jiàn)ています。この2つのズレが、いろんな意味で中國(guó)と日本が一緒にやることの難しさになっています。それを越えるには、やはり顔と顔が見(jiàn)える形で、もっといろんな交流をするということが必要ですし、できる時(shí)代になってきていると思います。（提供/人民日?qǐng)?bào)海外版日本月刊）