<コラム>中國?大連発リモートワークという選択はどうなのか、日本語教師の先生たちに聞いてみた

大串 富史    2020年9月4日(金) 23時40分

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中國?大連発リモートワークで奮闘中の日本語教師の面々:左上から右下にかけて順に、野北先生?松尾先生?キムラ先生?西山先生?睦子先生。

――中國の人に日本語を教える、というのは日本人としてどうでしょうか?

野北:オーストラリアでも中國出身の方々と関わる機會がありますので、『中國の人』というくくりでの不安はなかったですね。そして実際に始めてみると、中國の文化や習慣で知らなかったことが多くて、考え方の違いと共に共通點などを感じる機會も多々あり、とても楽しいです。

松尾:特に何も感じたことはなく、むしろ授業(yè)中は漢字に助かっています!近所のスーパーでカタコトの日本語を話す中國人がいると、教えてあげたくなります(笑)。

キムラ:中國の學生と話していて、とても勉強させられることが多く、感動することも多々あります。勉強に対する姿勢、日本の文化への愛情、そして人に対する考え方などでしょうか。私は子どもの頃、中國や中國の人に偏見を持つ大人に會う機會が多かったんですが、現(xiàn)実は全く異なるという點を知ることができて、日々とても幸せに感じています。

西山:漢字指導をほとんどしなくて良いのは、正直楽だなと思います(笑)。人口も多い中國の方に日本語を?qū)Wんでもらえるのはとてもありがたいです。あと生徒さんが本當に熱心に勉強してくれて、感動しますね。勉強熱心な方が多く、こちらが學ばせてもらっていることの方が多いんじゃないかと思うくらいです。

睦子:採用された後はきちんと教えたい気持ちが増し、420時間の日本語教師養(yǎng)成講座にも入りまして、少しずつ知識が増えると共に、漢字文化圏の皆さんに教えるのは隨分楽させていただいてる、ということが分かってきました。ビデオ通話アプリのチャット欄で生徒さん同士が會話している內(nèi)容も、ぱっと見でなんとなく分かりますし、語彙の説明も、日本語の漢字を色々並べていくうちにお互い腑に落ちる瞬間があり、とても楽しいです。私は中國へ行った事がありませんから、授業(yè)中に生徒さんたちが日本語で教えてくれる様々なおいしい料理や生活ぶりを聞いて、中國についての想像がどんどんキラキラしたものへと膨らんでいます。

――最後に、給與待遇等含め、今の日本語教師のリモートワークへの満足度を教えてください。

野北:給與については、今のところかなり満足しています。ただ、仕事の進め方やルールについては、日本やオーストラリアでのやり方とは違うことも多く、戸惑うこともあります。

松尾:家で仕事ができるのは便利です。またスケジュール管理も自分なので満足しています。また、近々スウェーデンに戻るので世界のどこからでも授業(yè)ができるのは嬉しいです。しかし、給與に関しては一人で生計を立てていくのだとしたら生活は苦しいと思います。あくまでオンラインは副業(yè)として考えたほうがいいかもしれません。

キムラ:満足しています。職場が自宅だと孤立してしまいがちなのでは?と心配でしたが、今の日本語教師のリモートワークだと同僚同士の意見交換もできますし、本部の中國の方の対応が日本語で丁寧かつ迅速なので、安心して働かせていただいています。

西山:大満足です。1.學校に行く必要がないこと、2.ネット環(huán)境さえ安定していればどこでも仕事ができること(旅行中にも仕事できました!)、3.日本語教師は薄給が多い中きちんとした給與をいただけていること、4.運営側(cè)の対応が早いことなど、どれを取っても今の自分には大満足です。

睦子:日本の普通のバイトではなかなか見られない、量をこなすことによるインセンティブがあるのが面白いですね。また、仕事のやり方がどんどん変わって行くのを見るのも、試行錯誤をためらわない中國の力強さを感じます。日本の仕事の閉そく感に嫌気がさしている方なら、とてもすっきりするかもしれません。ただどうしても、所詮外注先、外部の人間ですから、気にはなるけど、會社(學校)を外から眺めているだけという寂しさはあります。私は自分の外國関係の仕事を「ネット出稼ぎ」と呼んでいますが、疲れるとパソコンを閉じて故郷に帰れるところが魅力です。

実はこの記事には前フリがある。數(shù)日前に「必ず確認してください『今?申請すればもらえるお金』國民に優(yōu)しい日本の社會保障制度」(プレジデントオンライン)という記事を読んで、僕は正直、日本にいる日本人の皆さんのことが心配になってしまった。

ちなみに僕のように日本に住民票がないガチな海外居住者にとって、例の1人10萬円の特別定額給付金はおろか、他のすべての日本の社會保障制度も受給の資格はない。そして中國の社會保障制度も、外國人で非加入者の自分はもちろん、家族にとっても決して十分なものとは言えない。

もっとも、この點でも海外組の僕の腹は既に決まっているので大した事は何もない。先日も10年近く使い続けていたソフトバンクのプリペイド攜帯がついに壊れてチャージ不能となったため日本の攜帯番號をとうとう失ってしまったが、実質(zhì)何の影響もないほど日本離れした自分がここにいる。

とはいえ日本にいる日本人の皆さんは、正直どうなんだろう?この「今?申請すればもらえるお金」とやらで本當に足りるのか?という疑問が、僕の頭をずっと離れない。

思うに「とにかく仕事だけはしなきゃなるまい」というのは、コロナ禍における我々すべての共通項なのだろう。言い古されたスローガンではないが、「不労動者不得食(働こうとしない人は食べてはならない)」とはまさにこのことだ。だから問題はむしろ、コロナ禍のただ中でどんな仕事にありつくか、にある。

では日本人の皆さんにとって、中國?大連発の日本語教師のリモートワークという選択肢はどうなのか。

日本でできる日本の仕事を探したい!日本語教師なんて自分に向いてない!中國の會社なんて不安!中國の人になんか教えられない!リモートワークって給與待遇が悪いのが相場でしょ?といったしごくもっともなご意見をお持ちの皆さんに、僕の同僚の日本語教師の先生たちの生の聲が、なにがしかの參考になればと願ってやまない。

■筆者プロフィール:大串 富史

本業(yè)はITなんでも屋なフリーライター。各種メディアでゴーストライターをするかたわら、中國?北京に8年間、中國?青島に3年間滯在。中國人の妻の助けと支えのもと新HSK6級を取得後は、共にネット留學を旨とする「長城中國語」にて中國語また日本語を教えつつ日中中日翻訳にもたずさわる。中國?中國人?中國語學習?中國ビジネスの真相を日本に紹介するコラムを執(zhí)筆中。

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