大串 富史 2020年10月8日(木) 16時20分
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寫真は、日本の報道とほぼ同時期に中國で報道された「中國人爆食」を取り上げた記事に添えられた、とある店の「お皿に殘った食べ物が50グラムを超えたら30元お支払いいただきます」という表記。
「中國人は料理を殘すのがマナー。日本の食べ放題では、殘したら罰金というルールが多いが、日本語が分からない中國人には通用しない。バイキングで食べきれないほど皿に盛って、半分以上殘すこともざらだ」。
ちょっと待ってほしい?!钢袊摔狭侠恧驓垽工韦蕙施`」とわざわざ斷っておきながら、「半分以上殘すこともざら」とその「(外國また外國人の)マナー」を問題視されてしまうと、非常に混亂してしまう。むしろそのマナー自體がおかしい云々とはっきり言ったほうが、もっと分かりやすくないか。
とはいえ、最も大きな誤解は「日本の食べ放題では、殘したら罰金というルールが多いが、日本語が分からない中國人には通用しない」という一文だ。これは全くの誤解である。
中國のバイキングビュッフェで、殘したら罰金というルールのないバイキングビュッフェはほとんどない。「殘したら罰金というルール」は、中國では當(dāng)たり前なのだ。そうでもしないと収拾がつかないというのは、ほかでもない中國にいる僕たちが一番よく知っている。
だから日本ではなく中國であれば、半分以上殘すこともまずあり得ない。罰金をわざわざ払うような無駄を、中國人がするわけがない。そしてこれもまた、「日本語が分からない中國人」のために中國語の表記をすればいいだけのことである。
そのようなわけで、この記事の締めくくりにある「気持ちよく『おもてなし』するためにも(日本人の)マナーの周知はさらに徹底したいところだ」という一文に全く異存はない。そう、必要なのは「周知」であって、それ以上でもそれ以下でもない。
事例その2:“爆食”にノー! 世界で進むビュッフェの中國人観光客「隔離政策」 |AERA dot. (2016年04月07日)
この記事は「対処法」を紹介しているという點では方向的に正しい(しかも2016年3月に報じられた「エビ爆食事件」がフェイクニュースであることを暴露している)。
だが、都內(nèi)でツアーガイドをする20代の在日中國人のコメントは……中國人の君がそんなことを言って、本當(dāng)にいいのか?と諭してあげたくなってしまう。
「いまパックツアーで日本を訪れる層は內(nèi)陸部の中間層の中高年でお世辭にもマナーはよくない。壯絶な生存競爭を體験している世代なので、ビュッフェのような『取ったもの勝ち』の世界では、ついつい本能的に動いてしまうのでしょう。僕らのような若い中國人からすると彼らの思考回路は狂ってるとしかいいようがない」。
えーっと、君は恐らく毛主席時代の大飢饉(1958年-1962年)の話をしているんだろうから、70代ぐらいの人の話をしているということでOK?であれば、極めて辛い體験を余儀なくされたそれらおじいちゃんおばあちゃんをつかまえて、「彼らの思考回路は狂ってるとしかいいようがない」とは、日本人へのおべっかにしてはちょっと言い過ぎだとは思わないか。
というか、君はバイキングビュッフェで『取ったもの勝ち』な中國人客の実際の「世代」とやらを、少し勘違いしてはいないか? 70代ぐらいの中國人が自分でそんなことをするとは、中國人の常識からして考えられない。
「ついつい本能的に動いてしまう」というのは、食事の席でその世代を立てようとする、彼らの子や孫の世代だろう? そう、君自身が中國にいた時に必ずや目にし、君自身もしていたに違いない、「おじいちゃんおばあちゃん、ほら、一番いいところを食べて!」という、いつものあれだ。であれば「思考回路が狂ってる」のは一體誰なのか、少し座ってじっくり考えてみるといい。
そしてこの記事は、結(jié)論がいただけない?!赴魺o人でマナーの悪い層がいなくなれば、世界の見る目も変わってくるかもしれない」というのだが、インバウンド観光客が日本に必要なのは10年20年後ではなく今なのだから、やっぱり今この時に「內(nèi)陸部の中間層の中高年」な中國の観光客も當(dāng)然受け入れるしかないだろうと思う。僕たちはもはや客を選べるような殿様商売ができなくなった、という方向に、メディアは僕たちをリードすべきではないか。
では、こうした「中國人爆食報道」の、一體どこがノーなのか?
この手の記事の多くが、中國人の食習(xí)慣や食に対する見方が日本人のそれとは違うことばかりをことさら強調(diào)し、日本のインバウンドに必要不可欠な実際的かつ具體的な対処法について前向きに論じていない。しかも日本人の「中國人観光客はもう勘弁してください」みたいな非現(xiàn)実的コメントや、中國で中國人相手には絶対に言わないであろう在日中國人のおべっかであふれている。
一方で、「中國人観光客はなぜバイキングが好きなの? | MIホールディングス」という記事などは、どうやって中國人観光客をバイキングビュッフェでおもてなしすればいいかを論じるあたり、非常に現(xiàn)実的で好感が持てる。
加えて「中國では、食べ放題でペナルティ? | チャイニーズドットコム」という記事も、「ほかの客が不快に思うのもうなずけます」という部分を除けば(中國の一體どこの誰が、中國人の食習(xí)慣や食に対する見方を不快に思うのか?)、中國現(xiàn)地の「中國人爆食」また「殘したら罰金というルール」について、かなりの程度正確に伝えている。
さて、そろそろ時間だし、僕も家族を連れて近所のバイキングビュッフェへ行くとしよう。斷っておくけど、僕たち客もお店も他の誰も、中國のバイキングビュッフェで不快なことなど何もない。
願わくば、日本にとって今や不可欠なインバウンドゆえに、中國人旅行客の「爆食」に遭遇せざるを得ない日本人の皆さんもまた、バイキングビュッフェで不快なことなど何もありませんよう。
■筆者プロフィール:大串 富史
本業(yè)はITなんでも屋なフリーライター。各種メディアでゴーストライターをするかたわら、中國?北京に8年間、中國?青島に3年間滯在。中國人の妻の助けと支えのもと新HSK6級を取得後は、共にネット留學(xué)を旨とする「長城中國語」にて中國語また日本語を教えつつ日中中日翻訳にもたずさわる。中國?中國人?中國語學(xué)習(xí)?中國ビジネスの真相を日本に紹介するコラムを執(zhí)筆中。関連サイト「長城中國語」はこちら
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