<コラム?莫邦富の情報(bào)潮干狩り>美談をでっち上げ、日本企業(yè)と行政を手玉にとる中國人ブロガー

莫邦富    2020年10月16日(金) 14時(shí)40分

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ギンザシックス最上階のTHE GRAND GINZA。モダンでスタイリッシュな雰囲気のフロア內(nèi)にフレンチレストランなどが併設(shè)されており、ウエディング式場としても人気がある。寫真は中國のSNSより。

それでも小野醤に対する批判の嵐は靜まらない。真実を知った人々は小野醤に自己批判と動(dòng)畫の削除を求めた。小野醤は弁護(hù)士を連れてレストラン側(cè)に事情釈明に行き、インターネットにアップされた例のでっち上げの動(dòng)畫は削除しなくていいというレストラン側(cè)の了解を得たと対外的に説明し、それで逃げきれると思ったようだ。しかし、若い在日中國人を主としたブロガーたちは批判の砲火を緩めなかった。四面楚歌の狀態(tài)に陥った小野醤は最終的には仕方なく動(dòng)畫を削除し、インターネットにお詫びの動(dòng)畫をアップした(數(shù)日後、削除した)。しかし、そのお詫びの內(nèi)容は核心問題に觸れず、ただ編集にちょっと力を入れすぎたといった軽い自己批判だけだった。レストランで他人(結(jié)婚披露宴の関係者たち)を?qū)澫螭吮I撮を行った行為、その盜撮した動(dòng)畫を勝手にインターネットにアップした行為の違法性問題にはまったく觸れていない。

■なぜ動(dòng)畫作成にここまで力を?

なぜ小野醤たちはでっち上げまでして、こうした動(dòng)畫作成に力を入れるのか。多くの日本人はたぶん理解できずにいると思う。小野醤たちがよく利用している抖音と言えば、中國企業(yè)が開発し中國を発祥とするショートムービーアプリで、TikTokトランプ米大統(tǒng)領(lǐng)が米國企業(yè)への売卻を強(qiáng)く求めたことでも知られるものだ。TikTokは日本でも若者を中心に大人気だが、中國における抖音人気は、日本のレベルをはるかに超えている。9月15日、抖音を運(yùn)営する北京字節(jié)跳動(dòng)科技(バイトダンス)は抖音の1日當(dāng)たりアクティブユーザー數(shù)が8月に延べ6億人を超えたと発表した。年初時(shí)點(diǎn)の4億人から利用者を大きく伸ばしたという。

バイトダンス中國の張楠最高経営責(zé)任者(CEO)はこの1年で2200萬人超のクリエーターに417億元(約6500億円)の収入をもたらしたと説明し、今後1年でこれを倍増するため15億ドル(約1580億円)を投じる考えを示した。

抖音はトラフィック數(shù)に重きを置くような上層設(shè)計(jì)になっており、人気の高いコンテンツほどより多くの視聴が得られる。30萬人のフォロワーを確保できたら、抖音から手応えのある?yún)毪盲椁欷毪趣いΑ!冈聟Г摔筏?00萬円もらえるのはざらですよ。小野醤ぐらいの人気ブロガーになると、さらにその數(shù)倍の収入は得られるのではないか。企業(yè)の広告ひとつもらえれば、數(shù)百萬円は入手できる」と內(nèi)情を教えてくれる人がいる。

そのため、抖音ブロガーには手段を選ばずにフォロワーを獲得しようとしている傾向が強(qiáng)く見られる。

日本人の戀人同士の片方を裝って情報(bào)を発信する在日中國人「夏木與卷毛的日?!?、熊本のイオンの商品処分を震災(zāi)民の生活支援という日本美化情報(bào)にでっち上げてさらに拡散する「林萍在日本」などがその典型例だ。

捏造してまで日本を美化する情報(bào)を拡散する事例があまりにも多かったため、こうした人間を中國語では「日吹(日本吹聴者)」と呼ぶ傾向がインターネットに現(xiàn)れている。こういう人たちが制作?拡散した日本美化の情報(bào)は情報(bào)の受け手側(cè)から逆に反感を買ってしまい、日本を評価する情報(bào)の全體に不信感をもたらしてしまう。一種の「悪貨は良貨を駆逐する」現(xiàn)象がすでに現(xiàn)れている。

小野醤を起用した観光キャンペーンでは、某航空會(huì)社と九州のとある地方自治體が小野醤の自作自演に基本的な原則を無視してまで協(xié)力したことは、逆にその動(dòng)畫を見た人々の反感を大きく買ってしまった。私のところに、「アプリの美顔機(jī)能を駆使して38歳の人間をまるで女子大生のように若く加工して地方を宣伝したが、その動(dòng)畫を見て、逆にその宣伝された地方にまで不信感を持つようになった」「動(dòng)畫に出ている友達(dá)が新設(shè)した會(huì)社に偽裝就職して日本在留ビザを入手した人間をあの航空會(huì)社はよく起用しているね。ブロガーに対するボディーチェックはしないのか」といった告発の情報(bào)が多數(shù)、送られている。中には、小野醤の所持している外國人在留カードは偽造した嫌いがあるという告発も來ている。小野醤にこうした事実関係を確認(rèn)しようとしたが、彼女は私の取材のリクエストを無視して返事をくれないままでいる。

■「自媒體」にルールが必要

中國語では、SNSなど個(gè)人性の強(qiáng)いアプリやサイトを使って情報(bào)を発信するツールを「自媒體(個(gè)人情報(bào)発信者)」と呼ぶ。在來のメディア社會(huì)では、長年の運(yùn)営を通して一連のルールが定められている。フリーランスの記者でもルールを守らないと社會(huì)の制裁を受ける。こうしたルールに照らしてみれば、小野醤の情報(bào)発信は間違いなくやらせ報(bào)道とでっち上げになる。そのやらせ報(bào)道ないしでっち上げに地方自治體の長やスポンサーである航空會(huì)社の関係者が進(jìn)んで參與することは在來メディアの世界では、まずあり得ない。そもそも企畫の段階で卻下されてしまう可能性が大だ。仮にやらせ報(bào)道が世に出ていたら、それも間違いなく社會(huì)の制裁を受ける。

1992年秋に日本放送協(xié)會(huì)(NHK)が「NHKスペシャル」として放送した2回シリーズのドキュメンタリー番組『奧ヒマラヤ禁斷の王國?ムスタン』はその典型例だ。金銭を渡して住民に雨乞いをさせたり、取材スタッフに高山病のまねをさせるなど、番組制作にあたって數(shù)々のやらせ行為があったことがスクープされてから、社會(huì)から厳しい制裁を受けた。

ニューメディアと呼ばれるネットの情報(bào)発信業(yè)界では、無數(shù)の「自媒體」が活躍している。こうした「自媒體」にもルール制定が必要だ。小野醤のような悪質(zhì)なブロガーに対しては、在日中國人社會(huì)の自浄力で駆逐するだけではなく、こうした悪質(zhì)なブロガーが生まれにくいネット環(huán)境、ネット秩序を法律的にも、世論的にも整備しなければならない。

■筆者プロフィール:莫邦富

1953年、上海市生まれ。85年に來日?!荷哳^』、『「中國全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中國』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多數(shù)。
知日派ジャーナリストとして、政治経済から社會(huì)文化にいたる幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭」といった新語を日本に定著させた。また日中企業(yè)やその製品、技術(shù)の海外進(jìn)出?販売?ブランディング戦略、インバウンド事業(yè)に関して積極的にアドバイスを行っており、日中両國の経済交流や人的交流に精力的に取り組んでいる。
ダイヤモンド?オンラインにて「莫邦富の中國ビジネスおどろき新発見」、時(shí)事通信社の時(shí)事速報(bào)にて「莫邦富の『以心伝心』講座」、日本経済新聞中文網(wǎng)にて「莫邦富的日本管窺」などのコラムを連載中。
シチズン時(shí)計(jì)株式會(huì)社顧問、西安市政府國際顧問などを務(wù)める。

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