米國大統(tǒng)領(lǐng)の交代まですでに1カ月を割った。アメリカの憲法は、1月20日正午に新たな大統(tǒng)領(lǐng)の任期が始まると定めている。 しかし、それまで敗北という選挙結(jié)果を受け止めようとしている現(xiàn)大統(tǒng)領(lǐng)のトランプ氏があと何を仕出かすかはまだ読み切れない。

■「第二のトンキン灣事件」を懸念

4カ月前に、私がダイヤモンド?オンラインに書いたコラム「米中対立激化、臺(tái)灣海峽で『第二のトンキン灣事件』勃発を心配する理由」には、すでにその心配を書いた。

「今年（2020年）は米大統(tǒng)領(lǐng)選の年である。人気が低迷するトランプ米大統(tǒng)領(lǐng)が中國との局地的軍事衝突を起こして、米國國內(nèi)の支持率を高めようと計(jì)算している可能性がある、と指摘する聲も大きくなっている。米中間に、計(jì)算された『擦槍走火』が起きる危険性があると指摘する識(shí)者が相當(dāng)數(shù)いるのだ。その中で特に、朱建栄?東洋學(xué)園大學(xué)教授が発した警告には耳を傾けるべきだと思う」

ここに言う「擦槍走火」とは、本來の意味においては、銃器を拭う時(shí)に不注意で銃が暴発してしまうことを言うが、ここでは、本意による軍事衝突ではないが、ちょっとしたすれ違いで深刻な軍事衝突になってしまうことを意味する。

臺(tái)灣海峽または南シナ海における米中間の偶発的な軍事衝突はこの「擦槍走火」の類に入るだろうと思う。

朱教授は、米大統(tǒng)領(lǐng)選が終わるまでの數(shù)十日の間に、米國が「非常手段」を講じるかもしれないと指摘している?！阜浅Ｊ侄巍工趣?、57年前に起きた「北部灣事件」が連想できるという。北部灣事件は日本では「トンキン灣事件」と呼ばれる。

同じく米大統(tǒng)領(lǐng)選の年である1964年の8月に、誰もが予想していなかった、世界を驚かせたトンキン灣事件が発生した。米海軍駆逐艦「マドックス號(hào)」（USS Maddox、DD-731）が北ベトナムの魚雷艇に攻撃されたと米國が主張。その數(shù)日後に、米國は大量の軍機(jī)を出動(dòng)させて北ベトナムを爆撃。こうして米國がベトナムとの全面戦爭(zhēng)に突入した。このトンキン灣事件がもたらした最も重要な結(jié)果は、ジョンソン氏が同年11月に行われた米大統(tǒng)領(lǐng)選で圧倒的多數(shù)の票を集め勝利したということだった。

4年後、このトンキン灣事件がでっち上げだったと判明しても、戦爭(zhēng)が発生し、多くの命もその戦爭(zhēng)によって亡くなってしまったということはもう変えられない。