<「尖閣」巡る日中攻防(下)>雙方が「棚上げ」合意=戦略的互恵関係推進で「平和の?!工?

八牧浩行    2022年3月20日(日) 6時0分

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人類の歴史上領(lǐng)土が原因の戦爭は何回もある。というより、ほとんどの戦爭が領(lǐng)土をめぐる諍いが発端だ。日本と中國両國政府による「尖閣諸島領(lǐng)土の棚上げ論」は歴史の節(jié)目に度々登場する。寫真は日本記者クラブ。

「領(lǐng)海法」制定に日本世論は強く反発、その象徴的な表れが 1996年7月、日本人による尖閣諸島での第二燈臺建設(shè)である?!概锷悉擦私狻工搜丐盲?004年に中國の活動家が上陸した際、小泉內(nèi)閣は立件せずに逮捕後強制送還している。

◆「暗黙の了解」を破った?。?/p>

「棚上げ合意」に基づき、外務(wù)省は「尖閣諸島をめぐる事態(tài)により、近隣諸國海域との関係全體が損なわれるようなことがあってはならないと考えており、関係者が冷靜に対処すること」との基本指針を作成?!·长欷搜丐盲?、今回のような抗議船が來ることになった場合、「尖閣に向け出航させない」「領(lǐng)海に侵入した場合は緩衝材を裝著した上で平衡接舷し、上陸を阻止する」「入管法により逮捕し強制送還する」などマニュアルまで作成されている。今回はこのマニュアル通りの対応だった。

2010年の中國漁船衝突事件の際、発足直後の民主黨政権の前原國土交通相はこうした「了解」を理解できずに、逮捕、長期勾留、大事件に発展したのは記憶に新しい。中國側(cè)は日本が「暗黙の了解」を破ったと判斷し、猛烈に反発した。この時、中日友好協(xié)會會長の唐家璇元外相は「日中國交正?;扦蟼S爭事件を棚上げした。當時の政治家にはそうした知恵があった。過去40年間暗黙の了解があった」と語っている。

1972年、日中が國交正常化を?qū)g現(xiàn)した際、田中角栄首相と周恩來首相は尖閣諸島問題について『今後の解決にまつ』ことで合意した。さらに1978年、日中が平和友好條約を締結(jié)した際、雙方は同問題について「棚上げし、今後の解決にまつ」ことで了解に達した。

トウ小平氏は當時、日本記者クラブでの記者會見で「こうした問題はそのままにしておいてかまわない。われわれの世代は知恵が十分でなく、この問題は話がかみ合わない。次の世代はわれわれより聡明(そうめい)だから、みなが受け入れられる良い方法を見つけ、この問題を解決するだろう」と明言した。

◆「領(lǐng)土」で煽る政治家は「最低」の烙印

國の內(nèi)政上問題に直面している時に為政者は外に敵を作ってナショナリズムを煽り世論の支持を得ようとする?!割I(lǐng)土問題」は國民の感情に訴え支持を集めるまたとない媚薬となり得る。數(shù)々の悲慘な戦爭を経験したヨーロッパでは偏狹なナショナリズムを煽るのは「禁じ手」といわれており、特に「領(lǐng)土」を政爭の材料にする政治家は「最低」との烙印を押される。領(lǐng)土問題は古今東西、ほとんどの戦爭の引き金となってきた。第一次、第二次大戦という史上最大の悲劇の誘因はドイツ、フランスなど國境問題だ。その反省からEUはつくられた。

尖閣問題をめぐり、日中雙方に狹隘なナショナリズムが急速に広がっている。両國のメディアでは「けしからん」「もっと毅然と」「弱腰になるな」と勇ましい言葉が飛び交う。日中両國は平和的な対話による解決を目指す必要がある。國內(nèi)の狹隘なナショナリズムを煽ったり、感情的な言動で國民の歓心を得たりすべきではない。

尖閣問題の棚上げと日中関係の大局維持が両國の「國益」なのは明白だ。日中両國は2008年に福田康夫首相と胡錦濤國家主席は「日中戦略的互恵関係」を締結(jié)、「日中両國がアジア太平洋の重要な國として、この地域の諸問題において、緊密な意思疎通を維持し、協(xié)調(diào)と協(xié)力を強化していく」ことで一致した。エネルギー、環(huán)境、貿(mào)易、投資、情報通信技術(shù)、金融、食品?製品の安全、知的財産権保護、ビジネス環(huán)境、農(nóng)林水産業(yè)、交通運輸?観光、水、醫(yī)療、文化など幅広い分野での互恵協(xié)力を進め、共通利益を拡大していくことになっている。

福田康夫元首相は「日中両國は一衣帯水のアジアの大國であり、政治的には波風(fēng)が立つこともあるが、『小異を殘して大同につく』の精神で平和友好を推進し、戦略的互恵関係を深化させなければならない。感情に流されてことを進めることほど危険なことはない。大衆(zhòng)迎合ポピュリズムは排除しなければならない。政治家は粗野な言葉は慎み、風(fēng)格を保つべきである」と警告している。(完)

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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