日本僑報(bào)社 2022年3月19日(土) 22時(shí)20分
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感謝の手紙を書く仕事を務(wù)めたのは、これまでの人生で初めてのことだった。
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感謝の手紙を書く仕事を務(wù)めたのは、これまでの人生で初めてのことだった。新型コロナウイルスで自宅待機(jī)しなければいけない私は最初、出勤せざるを得ない人の思いがよく分からなかった。なぜ彼らはイライラしているのか。なぜ、わざわざ危険を冒してマスクを著けて外出するのか、そういう疑問がいっぱいあった。そんな人の気持ちを少し分かるようになったのは、ある手紙だった。
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兄が勤めている會(huì)社は、取引先の日本の會(huì)社からマスクを受け取った。兄がいる部門の同僚が嬉しくて、自発的に日本の會(huì)社に感謝の手紙を書こうとした?!袱证丹螭尾块Tは英語で貿(mào)易しているから、日本文化や日本語に対して理解がある人が少ないんじゃない」「そう、だから手紙をお前に書いてもらいたいよ」。しまった、やぶ蛇だと思ったときには、書く他に道はなかった。
手紙を書くだけだから、30分もあれば書けるだろうと思っていた私が馬鹿だった。みんなの言いたいことを聞いていたら、何から書いていいのか分からなかった。皆さんの話はほぼ同じ意味だった。たくさんの話を伝えたいが、私にとっては「ありがとう」という言葉でまとめられてしまう。だから、言いたいことをそれぞれ分けて日本語で表現(xiàn)するレベルに至っていないと気付いた。いや、その前に相手の気持ちをよく理解できていなかったと言えるだろう。
「なぜ手紙なのか。メールのほうが便利なのに」。手紙を書くということはもう少なくなった。どうして今さら時(shí)代遅れで、なおかつ時(shí)間がかかる方法で書かなければならなのか。そんな疑問をぶつけると、マスクの箱にあった手紙を見せてくれた。それは日本の會(huì)社から、達(dá)筆な中國語で書かれていたもので、兄がいる部門に送った手紙だった。受け取ったマスクと手紙は、両社の利益関係を維持するための道具だけでなく、両社の協(xié)力は今回の新型コロナウイルスにおいても何も変わらないということを伝えるだけでなく、社員の気持ちを落ち著かせるためのものだった。
昔の人は攜帯電話もメールもないので、手紙で交流しなければならなかった。家文でも戀文でも、その時(shí)の人々は手紙に対して期待感を持っていた。手紙は昔の人にとって幸せを伝える媒介とも言える。中國の歴史上の詩人たちは、詩で自分の普段の考えを記録する以外に、手紙の內(nèi)容として自分の家族や友達(dá)に送って、自分の思いや懐かしさを表した。今の人から見れば、當(dāng)時(shí)の詩は分かりにくいが、その強(qiáng)い思いは文字から伝わってくる。しかし、近年は時(shí)代とともに手紙を書かなくなった。好きな人から戀文を受けたというドキドキ感も、家族の手紙をもらった時(shí)の幸せ感も感じられない。
今回、マスクの役割は小さいかもしれないが、日本の會(huì)社からの手紙は同僚たちにとって安定剤に相當(dāng)した。その手紙は溫かくて、祈りと慰めも含まれていた。今回の疫病は自分の命の不安のみならず、今後の仕事の進(jìn)め方に不安とか、進(jìn)行中のプロジェクトが続けられるかどうかという不安、自分は次の感染者になるかどうかという不安、自分の通勤が家族にウイルスをうつすという不安、いろいろなものが絡(luò)み合っている。なぜ、イライラしているのかも少し理解できた。
複雑な心境と相手に対する感謝を少しでも早く伝えたい、そんな重大な任務(wù)を擔(dān)っていることに今さら気づいた。皆さんの本當(dāng)に言いたいことを文字にしないといけない、手紙を書くだけでは終われない。結(jié)局、1週間かけて、この手紙を書き終えた。今後、人の気持ちを理解する場合は自分の考えだけで物事を見ないで、他人の立場から考えることも大事であると學(xué)んだ。將來は好きな人に手紙を書いて告白して、家族には手紙で懐かしさを伝えたいと思う。手紙で幸せを伝えられると信じている。
■執(zhí)筆者プロフィール:王子璇(河北工業(yè)大學(xué))
※本文は、第16回中國人の日本語作文コンクール受賞作品集「コロナと闘った中國人たち」(段躍中編、日本僑報(bào)社、2020年)より転載?編集したものです。文中の表現(xiàn)は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報(bào)社の許可を得て掲載しています。
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