「京九高速鉄道に乗車のみなさま、まもなく河南省濮陽市です。當市は地級市としては唯一、列車が通過するのみで駅がございません。お降りになるお客様は、乗車口にお越しいただき、飛び降りる準備をお願いいたします」このほど、北京と香港?九龍を結(jié)ぶ京九高速鉄道の車內(nèi)放送のパロディらしき上記の文章が、濮陽市民の微信（WeChat）のモーメンツ上で拡散された。

【その他の寫真】

ことの発端は、河南省濮陽市黨委員會の機関紙『濮陽日報』が8月7日に微信の公式アカウントで公開した「京九高速鉄道が濮陽に駅を設置しないことに関する九つの問い」（以下「九問」）と題する文章である。

「8月5日に実施された京九高速鉄道の雄安-商丘間の敷設に関するFS（フィージビリティスタディ）論証會において、中國鉄道総公司のある主管職員は『臺前県東部の晉豫魯鉄道（山西省呂梁市興県瓦塘鎮(zhèn)と山東省日照港を結(jié)ぶ鉄道。山西省?河南省?山東省を通過）の2キロ先で黃河を渡り、陽谷県內(nèi)に陽谷臺前駅を設置する』案（東線案）のみの検討を強く推していた。これはつまり、京九高速鉄道が濮陽市を『通過はするが、駅は設置しない』ということである」これにより、京九鉄道の駅設置をめぐる各當事者間の駆け引きが公にされることとなった。

■「400萬市民の利益を無視した」高速鉄道計畫

「昨年3月18日にK7976號（濮陽-鄭州間）の列車が濮陽駅の1番線を出発、旅客列車の通らない濮陽市の歴史はここに幕を閉じた」（河南省『大河報』紙）。1983年の市設置から実に33年もの間、濮陽市には旅客列車の駅がなかった。それまで、河南省の直轄市で國有旅客鉄道が通っていなかったのは濮陽市だけだった。現(xiàn)地の住民は周辺の安陽市、聊城市、邯鄲市などから列車に乗るほかなかった。京九高速鉄道の建設計畫は、こうした市民の期待を大いに高めるものだった。

國家発展改革委員會、交通運輸部、中國鉄道総公司は昨年7月に「中長期鉄道網(wǎng)計畫」を合同で発表、京九高速鉄道は同計畫の一大プロジェクトとして、そのルートが大いに注目された。

京九高速鉄道は、北は北京から南は香港の九龍まで全長約2400キロを結(jié)び、その建設については、地區(qū)ごとに線路を敷設して連結(jié)する方式が採用されている。中國鉄道設計集団有限公司の公式ウェブサイトでは、京九高速鉄道は雄安―商丘間で衡水市、聊城市、濮陽市、カ沢市（カ＝草かんむりに河）、商丘市などを経由するとされていた。

しかし、「九問」によると、中國鉄道総公司が現(xiàn)在推進している案では、京九高速鉄道は濮陽市の市街地を通らず、山東省と河南省の境にある山東省陽谷県內(nèi)に駅を設置し、そのあと駅を設置するのは済寧市梁山県、カ沢市ウン城県（ウン＝軍におおざと）のみ。「論証會で強く推奨された東線案は全國鉄道網(wǎng)計畫に沿ったものではなく、山東省聊城市など一部地域の利益のみを考慮したものであり、400萬人の濮陽市民の利益はまったく無視されている」。また、東線案のルートについて、黃河渡河地點の選定が難しい點（黃河が蛇行しているため、堤防未整備箇所が多い上に、重要なインフラ網(wǎng)工事が集中している）や炭坑地區(qū)を通る問題（地盤対策が技術(shù)的に難しく、採掘権?鉱脈調(diào)査権取得済みの炭鉱に対する巨額の補償金が発生する）を指摘している。